遭難者背負い下山 男性に感謝状
(なら県)

*ソース元にニュース画像あり*

http://www3.nhk.or.jp/lnews/nara/20210127/2050006242.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

先月、天川村で遭難して動けなくなっていた20代の女性とその父親を、
背負うなどして無事下山させた会社員の男性に警察から感謝状が贈られました。

感謝状を受け取ったのは、兵庫県加古川市の会社員、岩崎哲裕さん(41)です。
警察などによりますと、岩崎さんは先月28日、早朝から友人と一緒に天川村の稲村ヶ岳に登り、
夕方5時ごろ、母公堂登山口から下山しました。
そのとき、50代の女性から「上で誰かと会わなかったか」と話しかけられ、
女性の50代の夫ら家族が戻ってないことを知りました。

携帯電話で最後に連絡が取れた場所がわかったため、岩崎さんは、頭に付けたライトなどを頼りに再び山を登りだしました。
途中、一足早く下山しようとしていた10代の息子と出会ったため、予備の懐中電灯を渡し、
さらに登って標高およそ1200メートルの法力峠付近で動けなくなった夫と20代の娘を見つけました。

そして、足を痛めていた娘を背負ったりしながら、1時間半ほどかけて登山口まで誘導し、無事下山させました。
岩崎さんは登山歴1年4か月ほどですが、すでに260ほどの山を踏破し、登山の技術や体力を磨いてきました。
テントなど40キロほどの装備を担ぐこともあるため、女性を背負って歩くのも苦にならなかったということです。

岩崎さんは「山道が凍るような寒さのなか、迷って歩いていると滑落するおそれもあると思い、助けに向かった。
最悪の事態も想定して捜していたので、見つけたときは安心した」と話していました。

【遭難した男性は】
岩崎さんに救助された50代の男性がそのときのことを話してくれました。
男性は、その日の正午ごろ、息子と娘のあわせて3人で、御手洗渓谷から洞川温泉に向かう
ハイキングコースを歩き始め、登山道に迷い込んでしまいました。
途中で見つけた案内板をもとに下山しようとしましたが、男性と娘は、
標高およそ1200メートルの峠付近で暗くなったため、動けなくなりました。
一方、息子は母親に連絡を取るため一足早く進んでいて、電波の通じる場所で電話し、
母公堂登山口に迎えに来てもらいました。

そして、登山口に向かっていた途中、3人を捜すため再び山を登りだしていた岩崎さんと出会い、懐中電灯を借りて下山しました。

岩崎さんはさらに山を登り、男性と娘は峠付近で発見されました。
男性は「足もつりかけるし、寒いし、軽装だったというのもあるし、手袋もしてなかったので、
手がかじかんでもう感覚がなくなってました。だいぶ遠くから(岩崎さんの)ライトが見えた時点で、
ものすごくほっとしました。本当にその方がいていただいたおかげで、
無事に帰りつくことができたということで、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
と話していました。

【山岳遭難件数 過去5年で最多】
去年、奈良県内で起きた山岳遭難の件数は56件とこの5年間で最も多くなりました。
遭難した人たちのおよそ7割は、登山届を出しておらず、警察は、確実に届け出るよう呼びかけています。
奈良県警察本部のまとめによりますと、去年1年間に県内で起きた山岳遭難は56件と
前の年より10件増え、人数も69人と前の年より16人増えました。
件数はこの5年間で最も多くなっています。
また、遭難した人のうち、亡くなった人は3人いました。
遭難した場所は大峰山系が最も多く30件、次いで奈良と大阪の府県境にまたがる
金剛・葛城山は11件、奈良と三重の県境の大台ヶ原を中心とした台高山系は8件などとなっていました。
遭難した人を年代別でみると、50代が20人と最も多く、次いで、70代以上が16人、40代が13人でした。
また、遭難件数全体のおよそ7割にあたる40件で、ルートや日程を知らせる登山届を提出していなかったということです。
県外から訪れた人が遭難するケースが半数を超えているということで警察は、
「奈良の山は険しいので服装を整え、登山計画も確実に提出したうえで、登山するようにしてほしい」
と呼びかけています。

01/27 16:28