「森喜朗氏、会社なら即アウト」 問題知らぬ若者も 都内100人調査
2/5(金) 20:06配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/b0e98ed127d21a95da9ac4a4734d9d6943ee14c6

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)による女性蔑視発言を人々はどう見ているのか――。毎日新聞が5日、東京都内4カ所で100人に聞いたところ、「森会長は辞任すべきだ」と答えた人は全体の約8割に上った。国際オリンピック委員会(IOC)と政府は森会長の謝罪と発言の撤回をもって「幕引き」としたい考えだが、国民感情との「ズレ」が浮かび上がった。【川崎桂吾、大島祥平、金子淳、五十嵐朋子】

 「あんな記者会見なら、開かない方が良かった」。東京・有楽町駅前にいた横浜市の弁護士、小栗夏生さん(54)は4日の謝罪・釈明会見を見てあきれたという。特に森会長が逆質問で返した場面を挙げて、「裁判官に『反省してますか』と聞かれて、『あなたはどう思いますか?』と聞くのと同じこと。反省の情がないと判断されて当然。あれは謝罪ではありません」と手厳しい。「口だけの謝罪であることが見え見え」(豊島区の無職の女性61歳)など、同様の意見は他にもあり、4日の会見でのやりとりが火に油を注いだようだ。

 街頭取材からは、辞任を求める人の多くが、森会長が国際的な祭典における「顔」にふさわしくない、と考えている様子が浮かんだ。東京都の会社員、山下真粧子さん(52)は「発言が時代の流れから外れている。五輪やパラリンピックは単なるスポーツイベントではなく、多様性を尊重することが趣旨のはず。その趣旨を理解した人がトップに立つべきだ」と指摘した。目黒区のデザイナー、牧野正弘さん(64)は「時代錯誤が甚だしい。『裸の王様』のようだ」と話した。

 また「謝罪して許される問題ではない」(荒川区の会社経営者の女性57歳)、「会社では即アウト」(横浜市の会社員の女性25歳)、「日本が恥ずかしい社会だと思われる」(台東区の専門学校に通う女性20歳)という声も聞かれた。森会長の年齢や失言癖を指摘する声も目立った。

 森会長が辞任を否定したことで、批判の矛先は組織委員会や政府にも向かっている。文京区のスポーツトレーナーの男性(50)は「なぜ周りは辞めさせるように動かないのか」と不信感を隠さない。文京区の会社員の男性(58)は「組織委が辞めさせられないのだとしたら、ガバナンスが欠如した状態で、だめな組織の典型。政府は何も言わなくていいのか」と怒る。練馬区の無職、清水正幸さん(67)は「森会長は歴代総理よりも高い位置にいるので、クビにできる人がいないんだろう」とあきれ顔だ。

 一方で発言が問題になっていること自体を知らない若者も多く見られた。渋谷のハチ公前で待ち合わせをしていた3人組の女性は質問に対して、きょとんとした表情を浮かべた。

 街頭取材では、約2割の人が「辞任する必要はない」と答えた。その理由を聞くと、「発言自体は容認できないが、トップが代わると混乱するから」(神奈川県の大学院生の男性24歳)など、若い男性を中心に大会運営への悪影響を懸念する声が目立った。「森会長の言っていることに異論はない」(会社員の男性38歳)と発言を擁護する人もいたが、一人だけだった。

 東京都の大学3年生、松野亮太さん(21)は、迷いながらも「辞任すべきではない」と答えた。「多くの人は森会長の辞任を望んでいるのだろうが、それで満足して、この問題が終わってしまうことを心配している。女性に対する差別や蔑視が生まれる背景を解決するために、単に辞任を求めるだけではなく、根本的に考えていく必要があるのではないか」と話した。