佐賀市内の病院で2014年、入院中に同室の患者から暴行を受けて死亡した男性(当時61歳)の遺族が、患者の措置入院を決定した佐賀県を相手取り、計約3270万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、佐賀地裁であった。達野ゆき裁判長は原告の請求を棄却した。

 判決によると、男性は14年9月、患者に殴られたりボールペンで首を刺されたりし、出血性ショックで死亡した。患者がその約1年前にも別の人に同様の暴力行為をしており、医師の予見可能性の有無が争点となったが、達野裁判長は「男性と同室になって以降、暴力に発展するような言動は見られなかった。医師が具体的な危険を把握できたとは思えない」とした。

 患者は殺人未遂容疑で佐賀県警に逮捕され、佐賀地検は同10月に不起訴とした。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210221-OYT1T50078/