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戦後日本をグイグイと引っ張り、何百万、何千万もの国民を食わせてきた基幹産業が見る影もない。
時代は流れ、「日本製」の文字から往時の輝きはとうに失われた。現場ではいったい、何が起きているのか。
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 '80年代には、北九州市の鉄鋼製品出荷額は年間1兆円を誇った。鉄が無数の人の暮らしを支え、地域を潤していたのだ。

 だが令和を迎えた今、その面影はない。
昨年夏には、日本初の製鉄所・官営八幡製鐵所に源流をもつ歴史あるこの地で、またひとつ高炉の火が消えた。
製鉄最大手の日本製鉄が、所有する2基のうち1基の休止を決めたのである。

 「6基の高炉がフル稼働し、10万人を超える人々が働いていた八幡地区も、現在は高炉1基に3000人が従事するのみ。
北九州では、もはや『鉄の時代』は終わりを告げているのです」(前出・日本製鉄OB)

 この数年、北九州市は全国でもワーストの人口減少数を記録している。製鉄業という最大の強みが崩れ、街全体が徐々に地盤沈下しつつあるのだ。

 こうした事態は、他の地域でも起きている。
日本製鉄は'23年までに茨城県鹿嶋市、和歌山県和歌山市、広島県呉市にある各製鉄所の閉鎖や高炉の休止に踏み切る。
さらに業界2位のJFEホールディングスも、神奈川県川崎市に保有する高炉1基の休止を決めた。

 コロナ禍以前から日本の粗鋼(加工前の鉄)の生産量は低落を始めていた。
一昨年にはリーマン・ショック直後の'09年以来10年ぶりに1億トンを割り込み、昨年には8319万トンと、なんと半世紀前の'69年と同水準にまで低下。
戦後日本を牽引してきた製鉄業界に、かつてない異変が起きているのは間違いない。

(中略)

■エンジンと雇用が消える
 いまこの国の産業を襲っているのは、ゲームのルールの激変である。
鉄鋼業界がさらされている二酸化炭素削減という「新たなルール」に、ギリギリと締め付けられている業界は他にもある。自動車業界だ。

 「2020年代の半ばからは、仕事が減ると思っていてください」

 ガソリンエンジンの製造に関わる中小のメーカーは最近、トヨタをはじめ大手からこのような「宣告」を受けているという。
自動車業界を長年取材するジャーナリストの井上久男氏が言う。

 「トヨタの豊田章男社長は最近、日本自動車工業会の会長としては『EV化を推進するとビジネスモデルが壊れる』とか、
『火力発電のウエイトが高い今の電力事情では、EV化を進めても抜本的な二酸化炭素排出削減にはつながらない。

 国のエネルギー政策とセットで考える必要がある』と、急速なEVシフトに否定的な考えを示しています。

 しかしトヨタの社長としては、本音では『いずれEVや自動運転車が主流になる』とも考えているようです。
実際、昨年には主にエンジン製造を担当する下山工場(愛知県みよし市)の生産ラインを2本から1本に減らしています。

 ガソリンエンジンの需要が減っていくことは織り込み済みということです。業界では豊田社長の発言は『二枚舌』ではないか、といった声も聞かれます」

(中略)

 家電や電機に限らず、この30年というもの、日本のメーカーの経営者は赤字を防ぐことばかり考えてきた。
勝負を避けて後手後手の思考を続けている限り、日本の産業が復活する日は来ないでしょう」(前出・大西氏)

 21世紀に入って20年が過ぎ、いよいよかつての成功体験は意味を失いつつある。
鉄と自動車、そして電機という屋台骨を失ったとき、果たしてこの国はまだ、自分の足で立っていられるのか。

 10年後に待ち受けるのは、戦後の日本人が経験したことのない荒涼とした時代かもしれない。

(全文はソースにて)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9b8684649ce449a60f491e25ff9b46ee8aa3920a?page=1

★1が立った時間:2021/03/24(水) 15:09:06.29
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