福島県いわき市の清水敏男市長は8日夜、臨時記者会見を開き、新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が発生していた東日本国際大硬式野球部で、新たに部員の男性30人の感染が判明したと発表した。

県が同日発表した新規感染者22人と合わせると52人で、読売新聞が集計している1日当たりの感染判明としては過去最多。県内の累計感染者は2751人となった。

 県によると、同日までの発表で、いわき市の高齢者施設職員5人の感染が確認され、今月7件目のクラスターと認定された。22人の内訳は、いわき市9人、南相馬市3人、相馬市、郡山市、白河市各2人など。半数近い10人が感染経路不明だった。

一方、いわき市によると、同大野球部のクラスターは計42人に拡大した。いずれも軽症か無症状だという。

これまでの市や大学の発表によると、42人のうち2人は自宅通学で、40人が学生寮で生活していた。学生寮では朝晩、共用スペースの食堂で一緒に食事を取る場面があったとみられ、市の担当者は記者会見で「まだ断定できないが、学生寮が感染経路という可能性も考えないといけない」と説明した。

 清水市長は「3月下旬から感染者が急増し、病床が逼迫ひっぱくしている。市民には、感染しない、させないよう危機感を持った対応をお願いしたい」と呼びかけた。

 また、県は8日に対策本部会議を開き、幹部が「4月に入ってからの上昇カーブは、1月上旬のカーブに酷似している」と報告。県感染症対策アドバイザーの金光敬二・県立医大教授は、間もなく始まる高齢者向けワクチンの接種日程をにらみ、「4月、5月、6月の3か月を重点的に、今の数字が悪化しないよう一丸となって感染対策を実行してほしい」と訴えた。

読売新聞2021/04/09 13:00
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210409-OYT1T50141/