皇室の存続を願うならば女性天皇、女系天皇を認めるしかないはずだ。。
2014年、宮内庁から連絡があって、当時の風岡典之長官と幹部である審議官にひそかに会った。内容は女性天皇の容認、女性宮家の創設についてだった。
もちろん宮内庁の2人ははっきりとは言わなかったが、そのときのやり取りから、女性天皇、女性宮家を認めることは、上皇(当時は天皇)のご意志であることを確信した。
陛下は皇位の安定的継承が危機的であることに苦悩されており、宮内庁としても何とか突破口を開きたいと考えていると感じた。

2017年に成立した皇室典範特例法では、国会の付帯決議で女性宮家の創設を検討することが決められた。
にもかかわらず、その議論はこの2年間まったく進んでこなかった。
そもそも16年に陛下がビデオで退位表明をされた際、

「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」

とおっしゃった。
それは陛下からの問題提起だった。
ところが政府も国会も何も手を打ってこなかった。
おそるべき怠慢である。

2019年9月14日号・東洋経済、