カリブ海の社会主義国キューバのラウル・カストロ共産党第1書記(89)が4月中旬に政界を引退し、兄のフィデル氏(2016年死去)と築き上げたカストロ兄弟中心の統治体制は終幕を迎える。1959年のキューバ革命を経験していない「革命後世代」への権力委譲が進む今、キューバはどこへ向かうのか。【サンパウロ山本太一】

■大幅に進む世代交代

 首都ハバナで16〜19日、重要方針を決定する5年に1度の共産党大会が開かれ、2期10年の第1書記の任期満了を迎えるラウル氏が退任する。後任はミゲル・ディアスカネル大統領(60)が就任する見通しで、カストロ兄弟以外で初の共産党トップとなる。共産党1党体制のキューバでは党第1書記が大統領より強い権限を持つとされる。

 党大会では世代交代が大幅に進む見通しだ。キューバ政治に詳しいブラジル・マッケンジー大のマルシオ・コインブラ教授は「ラウル氏の完全な引退を意味し、真の権力移行となる。一つの世代が終わる」と話し、党幹部を務める革命世代の全員が引退する可能性を指摘する。

 世代交代に加え、数年前からキューバが取り組むのは集団指導体制作りだ。「革命の英雄」と呼ばれるフィデル氏が主導して76年に制定された憲法は、19年に大幅に改正された。国家評議会議長と兼任の閣僚評議会議長を廃止し、それぞれの後継のポストとして大統領職と首相職を新設。ディアスカネル氏は国家評議会議長から大統領になり、観光相を務めていたマヌエル・マレロ氏が首相に就任するなど、権限の分散が図られてきた。

 革命の1年後に生まれたディアスカネル氏は、疲弊する経済の立て直しに向け経済改革を重視。ラウル氏が主導してきた経済の一部自由化路線を継承しており、今後も民間部門の拡大を進めるとみられる。

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https://mainichi.jp/articles/20210412/k00/00m/030/103000c
2021年4月12日 18時00分