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イオンが今年3月に「ジャスコ」を商標出願しました。出願情報が公開されると、SNS上では「懐かしい」「ジャスコ復活か?」などと、スーパー探訪愛好家たちが騒然となりました。あのジャスコが本当に復活するのか? 真相を確かめるべく、出願の意図をイオンに聞きました。(北林慎也)

■「ブランド力を高める」ため消滅

国内小売り最大手のイオンは、三重県四日市市の岡田屋呉服店と関西の2店が提携して1970年に設立されたジャスコが前身です。1989年には創業20周年を記念して、同社を中核とするジャスコグループの名称を「イオングループ」に変更しました。ちなみに、「イオン」は「永遠」を意味するラテン語です。

さらに2001年には、社名もイオンに変更。創業家出身の岡田元也社長(当時)の下でM&Aによる事業拡大を進め、売上高8兆円を超える一大流通グループとなりました。

この間、グループ傘下に「ジャスコ」「サティ」など複数のブランドが併存していましたが、2011年から順次、それぞれの総合スーパーの店名を「イオン」に統一。宣伝の効率を上げ、ブランド力を高める狙いからです。

その結果、店名としての「ジャスコ」は消滅しました。

■「ジャスコが復活する前触れ?」

無くなって久しいジャスコですが、今でも往時の店舗を懐かしむファンがいます。

イオンの屋上看板に旧ジャスコ時代のロゴマークがうっすら残っている様子がSNSで拡散するなど、いまだ多くの人にとって郷愁と愛着のあるビッグネームが「ジャスコ」です。

そんなジャスコの店名ロゴを、イオンが商標出願しました。今年3月15日に出願され、同月30日に出願情報が公開されています。

するとSNS上では、何らかの形でジャスコが復活する前触れか? と、期待と歓迎の声が上がりました。

一方で、クイズ番組「東大王」(TBS系)に出演し、「ジャスコ林」のニックネームで知られる林輝幸さんが、今春から本格的なタレント活動を始めると自身のSNSで宣言。イオンの商標出願は「名前を使わせないためでは?」といった臆測も飛び交いました。

■「我々は今でも、ジャスコを……」

その意図を巡って期待と臆測が入り交じる、今回の商標出願。真の狙いは何か? イオンに聞いてみました。

コーポレート・コミュニケーション部の担当者によると、ジャスコの店名が消滅した後も、過去の商標を引き続き登録するため、何年かおきに出願を続けている、とのことでした。

ジャスコの店名を捨てた今でも商標を登録し続けているのは、「ジャスコという名前は、会社にとって大切なもの」という思いからだそうです。

「ジャスコは、当時の社員が一生懸命に作り育ててきました。我々は今でも、ジャスコを大事に思っています」

つまり、ジャスコの復活を具体的に企図した出願ではないとのことでした。

また、「ジャスコ林」こと林輝幸さんを意識したアクションでは? との臆測についても、「そういう意図は全くありません」と否定しています。

■熱心なリクエストへの回答は……

近年のレトロブームを受けて、自社ブランドの往年のシンボルをあしらったノベルティー制作やグッズ販売に取り組む企業が増えています。

いまだ多くの人の記憶に残る、往年のジャスコの白と赤と緑の四角いロゴマーク。これを活用してグッズを展開する考えはないか? 自らもジャスコに深い愛着のある記者が、期待を込めて聞いてみました。

すると、記者の熱心なリクエストに感謝しながらも、残念ながら「そういった構想や予定は、今のところありません」とのことでした。

2021年4月14日 7時0分
https://news.livedoor.com/article/detail/20022188/
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