【フランクフルト=深尾幸生】

独メルセデス・ベンツは15日、電気自動車(EV)の旗艦車種「EQS」を8月に発売すると発表した。
新開発の車台や電池を採用し満充電での航続距離は最大770キロメートルを実現した。
EVでも「Sクラス」に相当する最上位モデルを投入し、米テスラに対抗する。

今夏の欧州と米国を皮切りに22年初めに中国でも投入。日本でも発売する。
価格は6月に発表するとして明らかにしなかったが、エンジン車の最上位であるSクラスと同等の1000万円前後からになるとみられる。

電池容量は最大107.8キロワット時と、同社の既存EV「EQC」より26%大きい。
制御システムも改良し、ガソリン車と同等の航続距離を確保した。急速充電器を使えば300キロメートル分を15分で充電できる。

内装では運転席と助手席の前の前面を湾曲するガラスで覆う大型ディスプレーを採用した。
3枚の画面が1つの巨大な画面のように見える。
カメラで運転者の視線を検知し、助手席側の画面を見ていると判断すると、安全を確保するために画面を薄暗くする。

高速道路などを時速60キロメートル以下で走行時に、車に運転を任せられる自動運転機能をオプションで用意した。
現在はまだ法律で認められていないが、メルセデスは2022年前半にもドイツで可能になるとみている。
同様の機能は独アウディが17年に発表したが、法整備が追いつかず提供を断念した経緯がある。

メルセデスは30年に新車販売の半分をEVとプラグインハイブリッド車(PHV)で占める計画を持つ。
高級EVではテスラの「モデルS」のほか、独ポルシェが20年に発売した「タイカン」も販売が好調だ。
独BMWも上位車種に品ぞろえを増やし、競争が激しくなる。
旗艦車種はブランドイメージへの影響が大きく、EQSの成否はメルセデス全体のEV戦略の試金石になる。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR12C2E0S1A410C2000000/

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