「解放新聞」(2021.04.25-2988)
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県連は業界内でのガイドラインの周知徹底と研修を要望した(2月24日・さいたま市)

 【埼玉支局】 埼玉県連は2月24日、さいたま市・埼玉教育会館で昨年9月におきた同和地区問い合わせ事件を教訓にして、会員への啓発を強化するよう公益社団法人埼玉県宅地建物取引業協会、公益社団法人全日本不動産協会埼玉県本部に要請した。

 県連からは片岡明幸・委員長、小野寺一規・書記長、山本道夫・副委員長ら、宅建協会から高根沢浩昭・事務局長、全日不動産協会から沓澤俊夫・副管理役ら、県からは2人が出席した。

 この事件は、昨年9月、埼玉県富士見市在住の女性が、熊本県宇城市にある土地の売却を埼玉県新座市のS不動産に依頼し、宇城市のK社が土地を調査した。10月に調査結果を依頼者の女性に報告。報告を受けた女性は宇城市役所に「不動産会社から同和地区にあるため売れないといわれたが、本当に同和地区か知りたい」と問い合わせた。市役所の職員は「同和地区かどうかを教えることは、差別の拡大につながるので教えることはできない」と返事したが、宇城市は同和問題にかかわる人権問題として重視し、2社の不動産会社の調査をおこなった。11月に宇城市内で熊本県などの関係者も出席してK社にたいする事実調査をおこなった。

 報告を受けた埼玉では、12月27日にS社にたいする事実調査をおこない、新座市、富士見市が立ち会った。片岡委員長は「女性にたいする二つの会社の説明に問題があったことは確かだ。その土地が同和地区かどうかを調査したり、報告をおこなうことはあってはならない」と指摘。また、「なかに入った埼玉、熊本の不動産会社社員は、いずれもガイドラインの存在を知らなかった」とのべ、両団体に見解を求めた。

 沓澤副管理役は「あってはならないことだ。研修を年3回おこなっているが、あらためてガイドラインの周知徹底をはかっていきたい」、高根沢事務局長は「業界としてあってはならない。今後、会員へ周知徹底をはかることが必要である」とのべた。

 県連は「同和地区に関する問い合わせが各地で頻繁に発生している。研修では同和地区問い合わせの具体的事例から学ぶことが必要だ」と強調した。