期待に胸を膨らませて入った就職先。でも・・・。
「相談できる先輩がすぐ隣にいない状況は苦しかった」去年(2020年)の春に就職した新人たちの声です。入社して1年、コロナ禍で働いてきた新入社員たちは何に不満を感じているのでしょうか。
(以下、ディスコの「入社1年目社員のキャリア満足度調査」より)

【すでに満足度が低下している人も】
こちらは去年、入社した新人たちに、いま働いている会社への満足度を尋ねた結果です。
ディスコの調査を基に作成 (調査はことし2月)

入社を決めた時には、勤め先への満足度が高いことを示す「満足度80%以上」の人が64.3%と高い割合を示していましたが、入社からおよそ1年がたつと47.7%まで低下。満足度が高いと感じている社員が、16.6ポイント減っています。

去年、入社した新人たちは…
▼テレワークで放置され、どうしたらいいのかわからない。コロナの影響で仕事がもらえない。(サービス/理系女子)
▼教育がされていない中で自主性を求められる。思っていたような開発はできない。(メーカー/理系男性)
▼実際に仕事をしてみたら、あまり興味がないことに気付いた。(サービス/文系女性)
研修不足のまま現場に配属されたり、想像していた仕事と違うと感じたりすると、満足度が下がる傾向にあるようです。

【新人研修に不満】
入社後に満足度が低下した人の主な要因として考えられるのが、コロナ禍で行われた新人研修に関する不満です。

入社後の教育や研修制度について、60.9%が満足と答えていますが、「やや不満」「とても不満」と感じている割合も4割近く。前の年より6.4ポイント増えています。
新型コロナの影響で、新入社員研修が「オンライン形式になった」(63.7%)、「期間が短縮や延長など変更になった」(44.6%)など、多くの企業が新人の教育体制を変えざるを得ない事態に追い込まれました。
対面方式の研修とならなかったことで、気軽に同期や教育係の先輩に相談できなかったことなどが、不満の声につながっているようです。
この春、入社した社員の新人研修をいま行っている企業も多いと思いますが、オンラインだけの研修では限界がある実態が見て取れ、企業側には工夫が求められているようです。

【新入社員からテレワークは…】
オンラインなどの研修を終えた新入社員たちが次に直面したのが、テレワークの壁です。
入社から現在まで、「ほとんどがテレワーク」「どちらかと言えばテレワーク」「テレワークと出社が半々」の人は、合わせて35.6%。多くの新入社員が、テレワーク前提で働いていたことがわかります。

テレワークについては・・・
▼何もわからないところから始めた新入社員にとって、質問や相談できる先輩がすぐ隣にいない状況は苦しかった。(金融/文系女性)
▼仕事の内容や時間配分が理解できるまでは、リモートでないほうがよいと感じる。(メーカー/理系男性)
▼先輩方がどんなふうに仕事をしているのか学ぶ機会が少なく、自分の成長が遅れているのではないかと不安を感じる。(IT/文系女性)
任される仕事のすべてが新しい経験となる新入社員にとって、テレワークは会社側が思っている以上に不安を感じているようです。
新人研修もオンライン、仕事もオンラインが中心となると、いつもの年なら当たり前に身についていると思っていたスキルが、なかなか身につかないといった不満もあるようです。
オンラインの仕事が多い企業では、例年以上に新人に対してフォロー体制を拡充させる必要があるのかもしれません。

【4割が転職を検討中】
勤務先への満足度が下がれば、転職を考える人もでてくるようで、3.5%が「現在転職活動中」、40.7%が「転職活動はしていないが検討中」と答えています。

ディスコの担当者
「コロナ禍では、企業が思うように研修ができないのは仕方ない部分もあります。会社説明会の時に仕事内容をより細かく説明し、具体的にイメージしてもらえるようにすることが必要で、入社後もなるべくこまめにフォローしていくことが求められます」
就活生も、希望する会社の社員に早めに話を聞いて現在の状況を把握するなどしておくと、入社後のミスマッチを減らす手立てとなるかもしれませんね。

※対象:2020年度新入社員 期間:2021年2月5日〜16日 有効回答:514人
NHK 2021年04月26日
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu695/