※読売新聞

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「まん延防止等重点措置」の対策強化で、埼玉県内の多くの飲食店では28日から、酒類の提供が終日取りやめとなる。主要駅周辺の居酒屋などでは27日夜、酒類提供が止まる前の「駆け込み飲み」を楽しむ人でにぎわった。東京に隣接する川口市では、すでに酒類提供の停止が始まっている都内から「越境飲み」でやって来た客の姿も目立った。

酒類提供の取りやめを前に在庫の生ビールを出し切ってしまおうと、ほぼ半額で提供する店もあった(27日、さいたま市浦和区で)
 
「お酒は今日でおしまい。どんどん飲んでね」。JR北浦和駅(さいたま市浦和区)近くの居酒屋では、在庫の生ビールを出し切ってしまおうと、通常のほぼ半額の「1杯250円」で提供するサービスを実施した。

店は午後6時過ぎにはほぼ満席に。客の女性(52)は「今日は飲み納めのつもりで来た。明日からは家で飲むしかないのが寂しい」とつぶやいた。

同店は28日からも、感染対策を徹底した上で、ノンアルコールビールの種類を増やすなどの工夫をして営業を続けるという。経営者(36)は「制限がある中でも、お客さんに楽しんでもらいたい」と話した。

JR赤羽駅(東京都北区)と荒川を挟んで1駅の川口駅。周辺の飲食店では、すでに25日から酒類提供を取りやめている東京都内から、酒を求めてやって来たという客もいた。焼き鳥店でハイボールを飲んでいた東京都北区の男性(56)は「静かな家で飲むのはどうしても寂しくて」、川口に来たという。「まさか川口でも飲めなくなるなんて。でも、感染収束のためには仕方がないね」と理解を示した。

「路上」控えて 県が呼びかけ

県内でも、飲食店などに入らず「路上飲み」をする人たちが見られるようになった。だが、県は屋外での飲酒も控えるよう県民に呼びかけている。

JR大宮駅(さいたま市大宮区)東口の「大宮南銀座」近くで、知人らと3人で酒を飲んでいた30歳代の男性は「3密になるわけでもないし、他の人に迷惑をかけていなければ、路上飲みぐらい許してほしい」と話した。

2021/04/28 09:01
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