浜松学院大学・同大短期大学部(浜松市)の石田勝義学長(75)が、2019年度にあった学長選挙で示した研究業績に虚偽があることを指摘されていた問題で、同大の調査委員会は28日、著作は盗用であると認定したと発表した。運営する学校法人興誠学園は、同日付で石井学長を懲戒解雇した。近く学長候補者選考委員会を設置し、新学長を選ぶ。

 調査委員会の梅藤久人・副理事長は会見で、「書籍の本文を作成者に了解を取らず流用し、自らの名義で『新たな書籍』とした事実を確認した」とし、「盗用に該当する」と述べた。

 問題となった著書は石田学長が2009年に出版した「重度知的障害児教育の実践 一人ひとりの子どもの幸せを求めて」。大学側によると、1977年に浜北養護学校が教員らの共著として出版した「重度障害児教育の実践 可能性を求めて」の本文を盗用しているという。同養護学校の著作であることを示す「まえがき」は削除され、著者名は石田勝義としていた。

 このほか、学長選で提出された研究実績19項目のうち5項目に虚偽が指摘されていたが、梅藤副理事長は「今回の調査委の調査はこの著作1件のみが対象」として他の5件については正式なコメントを控えた。

 一方で、石田学長が同大発行の「学習支援センター紀要」に掲載されたとする論文2件については「掲載されていないことを確認した」と述べた。

 一連の研究実績は同大の特別支援学校教員養成課程の国への申請時にも使われおり、梅藤副理事長は「文科省に報告し、状況を是正することでご理解を得たい」と話した。

 石井学長は一連の調査に、「特別支援教育に対する思い入れ故とはいえ、教育者・研究者として言い訳できない誤った行動であり、深く反省している」と話しているという。

 新学長選出までは今井昌彦理事・短期大学部部長が学長職務代理者を務める。(菅尾保)

朝日新聞 2021/4/29 9:28
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