いよいよアスリートの辞退ドミノが幕を開けそうだ。

五輪金・高橋礼華が語る東京五輪「正直、開催は難しい」

「五輪はアスリートの祭典だが、東京では心の底から楽しめない。今は五輪を祝うべきではない」

 言葉の主は、2008年北京五輪の馬術障害飛越個人で金、16年リオの同種目で銅を獲得したエリック・ラメーズ(53=カナダ)。17日に東京五輪の国内代表選考から辞退し、五輪に出場しないことを表明した。

 ラメーズは4年前から脳腫瘍を患い、3年間の治療を経て競技に復帰。「私にとって健康は非常に重要で、東京はベストな開催地ではないと判断した。現在、健康状態は安定しているが、いくつかのリスクを考慮しなければならない」と、感染リスクの懸念にも言及した。団体戦に出場予定だったチームメートの薬物違反で団体の出場権を失ったことも影響したというが、22年の世界選手権や24年のパリ五輪は目指すというから、今回の東京に「NO」を突き付けた格好だ。

 カナダは体操代表選手団がすでに五輪をキャンセルした。代表選考最終予選を兼ねた6月の南北アメリカ大陸選手権(ブラジル)に選手を派遣しないことを決定。「健康と安全に対するリスクが高すぎて競技を検討できない」と断念した。

 4月には、豪州の飛び込み選手団が「現時点で公正で安全な五輪予選イベントの開催は不可能というのが私たちの立場」として、世界最終予選を兼ねた日本でのW杯を辞退。東京五輪の出場権が消滅した。

 家族の存在も大きな理由になる。女子テニスのセリーナ・ウィリアムズ(39=米国)は、3歳の娘を東京へ連れて行けなくても五輪に出場するかと問われ、「彼女なしで24時間以上過ごしたことがない。それが答えね」と出場辞退を示唆。女子サッカー代表のモーガン(31=米国)は1歳になる娘、女子マラソン代表のアリフィン・トゥリアムク(32=米国)も4カ月になる娘がいて、共に子供と長期間離れることへの不安を吐露している。

 現状、選手の家族ら同伴者の大会参加は禁止されている。「それなら出ない」と東京行きのチケットを破棄するかもしれない。 実力あるアスリートまでもがコロナ禍を理由に参加を取りやめるうえ、今後の状況次第では一線級の選手も続く可能性が出てきた。出たいのに出られないアスリートがいる状況で、フェアな五輪ができるとは思えないのだ。

https://news.livedoor.com/article/detail/20223581/
2021年5月20日 9時26分
日刊ゲンダイDIGITAL