菅首相が「東京オリンピック開催の有無を判断する新型コロナの感染状況に関する基準を明確に教えてほしい」という現地記者の要請にも、依然として質問とかけ離れた回答をした。

首相官邸によると29日、新型コロナの緊急事態宣言の延長決定をきっかけに前日に開かれた生中継の記者会見で、中日新聞の記者が菅首相に対して新型コロナの感染状況がどの程度ならオリンピックを開催あるいは取り消すのかなど、具体的な基準について質問し、「明確に答えてくれることを要請する」と述べた。

 これまで菅首相は準備してきた原稿を参考にして質問の趣旨に反する説明を長々と行ったり、迷答弁で困難な状況から逃れることが多かっただけに、回答を明確にするよう要請したのだ。この日の会見はNHKで生中継された。

 しかし、菅首相は今回も質問とかけ離れた回答で対応した。菅首相は東京オリンピック開催の有無を判断する新型コロナの感染状況に関する具体的な基準を示す代わりに、入国者数の縮小やワクチン接種、入国者の動線や一般人との接触制限など、日本政府がオリンピック開催のためにまとめた3つの防疫対策を長く説明した。

 菅首相は現在、新型コロナが拡散している状況でも今年の7〜9月に予定されている東京オリンピック・パラリンピックを開催するという意志を重ねて示している。

 菅首相は28日夕方、東京都など9つの都道府県の緊急事態宣言を来月20日まで延長することを決め、記者会見で「(オリンピック開催について)多くの方々が不安に思い、心配していることは知っている」とし、「そのような声をしっかりと聞いており、関係者らと協力して安全、安心できる大会に向けた対策を推進中」と述べた。

 菅首相は東京オリンピックの準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副委員長兼調整委員長が21日の記者会見で「日本が緊急事態宣言の状況下でもオリンピックを開催できる」と言ったことに関する立場を問う質問に即答を避け、「国民の生命と健康を守ることが政府の責務であり、まずは緊急事態が解除されるよう努力する」と述べた。

 このような一連の発言は国内外で激しくなりつつあるオリンピックの取り消し論を一蹴し、オリンピック開催の準備を続けるという意志を強調したものと受け止められている。

 菅首相はこの会見に先立って、英国のボリス・ジョンソン首相と行った電話会談でも東京オリンピック開催の決意を明らかにし、ジョンソン首相はこれを支持すると答えた

5/29(土) 23:10
https://news.yahoo.co.jp/articles/d7211c41d96b9b74b9e096b7dbfce8ade6b23be9