「対応できると思っている」――。観客入りの五輪開催について問われた菅首相は、28日の会見でこう意気込みを語った。プロ野球など国内のスポーツイベントが観客を入れて開催していることを念頭にしたのだろうが、野球やサッカーと五輪は規模が全然違う。開催する場合、最低でも「無観客」は必須だが、「有観客」に執着するのには理由があった。

「無観客だと組織委が見込む900億円の入場料収入が消え、国の負担になる恐れがある。政府は負担を避けたいのでしょうが、それ以上に大きいのが大会スポンサー企業の意向です。無観客開催になると、スポンサーは競技観戦の“優待チケット”を失うことになる。通常、スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」(大会関係者)

「無観客」に対するスポンサーの怒りについて、報道サイト「Tansa」が、組織委によるスポンサー全81社への説明会の議事録を入手し、28日付の記事「『開催中の中止』にまで言及した迷走の五輪組織委 パートナー企業は驚愕」で詳細に報じている。IOC(国際オリンピック委員会)らによる「5者協議」後に開催された説明会で組織委が「無観客」の可能性に触れると、スポンサーからはこんな批判が出たという。

〈なぜ今、無観客といい始めるのか。驚愕している。釈然としない〉〈昨年3月の時点で専門家はコロナの収束には2、3年はかかるといっていたのに、なぜ今頃最悪のシナリオが出てくるのか〉

https://news.yahoo.co.jp/articles/11b209ac5a6d33ea2920fe2bb23d7bb690569dac