都内在住の私は、7月初めにようやく新型コロナウイルスワクチンを接種する。

はっきり言って、「やっとか」という思いだ。常にマスクを着用し、
自粛しなければならなかった生活から脱することができると思うと、ホッとする。

パンデミックの終息には、ワクチン接種を加速させて集団免疫を獲得するしかない。

Our World in Dataの集計によると、米国では1日までに約1億6849万人(人口比50・38%)が1回目の接種を済ませ、
約1億3587万人(同40・63%)がワクチン接種を終了している。

一方、日本の首相官邸のデータによると、1回目の接種を受けた高齢者は約15%程度だ。

原因として、「世界規模のワクチン争奪戦で遅れた」 「厚労省に『有事』意識の欠如」
「医師会の問題」などが指摘されているが、先進国として「驚くべき遅さ」といっていい。

ワクチン接種が開始された後で、歯科医師や薬剤師による接種を議論しているようでは、当然の結果といえる。
多くの国民から東京五輪・パラリンピックの開催を反対されてから、対策を講じるようでは遅いのだ。

米国では接種開始前から医師や看護師だけでなく、獣医師や医学生にまで接種を許可し、打ち手を確保していった。
接種場所についても、ニューヨーク州の地下鉄での予約なし接種や、メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の連休を利用したビーチなどでの接種がある。

もちろん、自衛隊が運営する東京と大阪での大規模接種には大いに期待しているが、1日に1万5000回が限界だ。
ドライブスルー接種など、さまざまな接種場所の確保も準備していることを祈りたい。

政府が掲げる「7月末までの高齢者接種完了」には、接種者の頭打ちも十分考慮すべきだ。
私のSNSでも、短期間で承認されたワクチンを批判する人がいる。一部メディアの報道もあり、今後、もっと彼らの声が大きくなるだろう。

米国では接種を加速させるため、一部の州で「宝くじの提供」や「食事券の配布」を特典にするなど工夫を凝らしている。
日本の世論調査では、政府のコロナ対応は低評価だが、各自治体による知恵と工夫も不可欠なのだ。

頭打ちになった場合、客観的データに基づいた説明が重要だろう。


米疾病対策センター(CDC)によると、ワクチン接種後に感染した人は0・01%で、死者はわずか160人だという。
このようなデータの迅速な公表が人々を安心させ、接種のスピードを加速させる。


憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とある。
極論かもしれないが、集団免疫を獲得するためには、ワクチン接種を半ば強制にしても構わないとさえ思う。

それほどの“緊急事態”であることを、政府はもちろん、国民も理解しなければ接種は進まない。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/210604/dom2106040002-n1.html