新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種を巡る内閣官房のデータで、
栃木県は1回目の接種を受けた高齢者の割合が15・5%(7日時点)で全国最下位になっている。

政府の調査では、県内全25市町が7月末までに2回目の接種を終了する見込みとしているが、
目標達成のため、各自治体には国や県から接種を急ぐよう要請が相次いだ。

「強い圧力を感じた」。自治体の担当者が対応に追われる現場の実態を証言した。

「7月中に終わらせる努力をしてほしい」。那須烏山市のワクチン接種担当者に
県や国の職員から接種の前倒しを迫る電話がかかってくるようになったのは、4月末に菅義偉首相が高齢者向けワクチン接種の
「7月末までの完了」を表明してからだ。

市では終了時期を8月以降と見込み、11人の職員が連日深夜まで通常業務に加え、接種のスケジュール作成や医師の確保に追われていた。

「終わるはずがありません」と一度は断ったが、その後も問い合わせは続いた。市の担当者は「強い圧力を感じた」と振り返る。

こうした電話は他の自治体でも確認されており、武田良太総務相は5月17日の参院決算委員会で、同省職員が問い合わせしたことについて
「圧力を加えることはない。地方自治体の抱える問題を一緒に解決していくことは間違ったことではない」と答弁した。

市では要請を受け、対応を見直した。集団接種の1日あたりの接種回数を増やし、接種会場の時間を延長するなどし、
1日の接種人数を当初の210人から、6月には約340人まで拡大。
https://mainichi.jp/articles/20210609/k00/00m/040/136000c