日刊スポーツ2021年6月10日13時1分
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202106100000351.html

花咲徳栄が埼玉県勢として初めて夏の甲子園を制覇した2017年の主将で、強盗致傷事件を起こし、今年2月、懲役5年の1審判決を受けた千丸剛(ちまる・つよし)被告(22)の控訴審初公判が10日、東京高裁(平木正洋裁判長)で開かれ、千丸被告が比叡山延暦寺で修行していたことが明らかになった。

公判には証人として千丸被告の更生支援計画を作成した社会福祉士が出廷。千丸被告の性格的な弱さ、被害者の怒りや悲しみなど対する理解が十分でないことを是正するため、心理カウンセリングを7回受け、比叡山で修行させたことを明かした。被害者の心情を理解するため、約50人の被害者調書に目を通した上で、被害者夫妻に謝罪文の書いたが、受け取ってはもらえなかったという。

被告人質問で千丸被告は「人生の柱であった野球を失い、抑うつ的な精神状態だった」とカウンセリングされたことを明かした。比叡山では今月2日から6日まで読経や説法を聞き、掃除をした。「今後も続けたい」と話した。また、アルバイトをしてためた5万円を弁償金として被害者に渡そうとしたが、受け取ってもらえなかったことも明らかにした。

検察側の反対尋問では「1審で実刑判決を受け、刑務所に入って責任を取るという選択はなかったのか。刑務所に入るほどのことじゃないと考えているのか」と詰問された。紺のスーツにネクタイ姿の千丸被告は「それは違います。執行猶予なら軽いとか易しいという気持ちはないです」と懸命に否定した。

甲子園で輝かしい成績を残した千丸被告はスポーツ推薦で駒沢大に進学したが、野球部で理不尽なしごきを受け、退部。大学も1年で中退した。花咲徳栄で同期の清水達也(中日)、西川愛也(西武)がプロに進む中、野球をやめた自分に価値はないと絶望を感じ、誘われるままに退学直後の19年4月、千葉県八街市で窃盗、住居侵入、強盗致傷事件を起こした。

次回、判決が言い渡される。