世界で新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数は、公式集計によると、今年これまでですでに昨年1年間の新型コロナによる死者数を上回っている。
この事実は、豊かな国々でワクチン接種が進展しているにもかかわらず、この病のパンデミック(世界的大流行)終息までの道のりがまだ遠いことを示している。

ジョンズ・ホプキンス大学が集計したデータに基づくウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の分析によれば、
今年の新型コロナ感染による世界の死者数は、年明けから6カ月もたたないうちに188万人を超えた。

同大学の集計では、今月10日までの2021年の死者数は、2020年全体の数値をわずかながら上回った。

こうした数値が先進国と開発途上国の格差拡大を明確に示している状況下で、ジョー・バイデン米大統領ら主要7カ国(G7)のリーダーたちは、
新型コロナへの次の対応を協議するため、英国で首脳会議に臨む。

米国、カナダ、英国などの欧米諸国は、大規模なワクチン接種によって感染者数・死者数共に減少するという好ましい状況下にあるが、
その一方で、アジアや中南米の一部ではコロナが猛威をふるい、世界の死者数を押し上げている。

ジョンズ・ホプキンス大学の集計は、世界各国が公式に発表している新型コロナ感染症の死者数をまとめたもので、
その累計は最近、世界全体で370万人を超えた。

感染症の専門家らによれば、感染者数と死者数の記録が不完全なため、実際の死者数はずっと多いとみられる。

公式発表による世界の新たな7日間平均の死者数が、ここ数週間減少傾向にあるのは良いニュースだ。
しかし、平均死者数の絶対値は依然として歴史的に高い水準にあり、1日の死者数が1万人を下回ったのはごく最近のことだ。

死者数が1万人を初めて超えたのは昨年終盤のことだった。
1月下旬からの2週間には、世界の1日平均の死者数は1万4000人を超えていた。

新型コロナをめぐる富裕国と貧困国の現在の状況は、以前とは逆の流れになっている。
今年の年明け前後の時期には、欧州と北米が世界全体の1日当たりの新規感染者数の73%、同死者数の72%を占めていた。

これは、秋から冬にかけて感染が再び急拡大したためだ。しかし、オックスフォード大学の「データで見る私たちの世界(Our World in Data)」
プロジェクトの集計に基づくWSJの分析によれば、現在は南米、アジア、アフリカ諸国が、1日当たりの感染者数の80%以上、同死者数の4分の3を占めている。

コロナに関する世界の格差を際立たせているのは、ワクチン接種率の大きな差だ。

「データで見る私たちの世界」によると、少なくとも1回のワクチン接種を受けた者の比率は、アフリカではわずか2%、アジアでは6%そこそこだ。
一方、同接種率は南米では22%、欧州連合(EU)では40%以上、米国では50%以上となっている。

世界保健機関(WHO)によれば、西半球で最も貧しい国であるハイチでは、まだ1件もワクチン接種が行われていない。


今年は、2020年に大きな影響を避けられたようにみえていたアジアの国の一部も打撃を受けている。
データによると、日本では今年の新型コロナによる死者数が昨年を大きく上回っている。

タイの死者数は全体で約1300人だが、そのほぼ全てが今年の死者だ。
https://jp.wsj.com/articles/covid-19-deaths-this-year-have-already-eclipsed-2020s-toll-11623384250

https://images.wsj.net/im-352629?width=600