2021-06-30 07:30

 かつては、銭湯や温泉に必ずと言っていいほどあった『ケロリン』と書かれた黄色い風呂桶。先ごろ、『すみっコぐらし』のデザインを起用した「ケロリン桶」が、SNSで話題になった。銭湯に馴染みのない若い世代のなかには、人気アニメとのコラボで知った人も多いだろうが、もともとは解熱鎮痛薬『ケロリン』の広告として誕生した「ケロリン桶」。銭湯文化が薄れつつある現在、同商品はどのように価値を維持し続けているのか、富山めぐみ製薬の北村学さんにお話を聞いた。



◆銭湯文化が縮小傾向もケロリン桶は死せず!「出荷数は販売初年度から変わらず。国内現存数は300万個」

 富山めぐみ製薬が製造販売する解熱鎮痛薬『ケロリン』は、大正14年の発売開始以来、現在に至るまで変わらない処方で、親子代々にわたって「我が家の常備薬」としている家庭も少なくない。その『ケロリン』の文字が最初に風呂桶に印刷されたのは、前回の東京五輪前年の昭和38年のこと。それ以前まで銭湯や温泉では木製の湯桶が主流だったが、衛生面や耐久面から徐々にプラスチック製(合成樹脂)に切り替わるタイミングで、ここに広告として商品名を入れたのが「ケロリン桶」の始まりだった。

「当時は、お風呂がない家庭も多かったため、1日の疲れを癒す銭湯は広告効果の高い場所でした。ところが風呂桶はお湯にさらされて印刷が剥がれやすいことから、広告に使用されるケースは少なかったようです。ケロリン桶は、インクをプラスチックの中まで浸透させる特殊な印刷方法を採用しているため、文字が消えない上に、表面もツルツルで汚れが付きにくいんです」(北村さん)

 ちなみに初年度に納入された「ケロリン桶」の色は白だったが、翌年から汚れが目立たない黄色に変更された。ここでおなじみの「ケロリン桶」が誕生したわけだが、今なお「白のケロリン桶」が現役で稼働している温泉や銭湯も全国にあるという。実に58年にわたって業務用の使用に耐えてきた驚異の耐久性だ。

 銭湯に通った世代にはノスタルジック、銭湯を知らない世代にはレトロ可愛い。そんなケロリン桶は、銭湯が減少しているにも関わらず年々増殖し続けているという。

「1963年の製造開始から現在まで、年間5〜6万個の出荷数は変わっていません。またちょっとやそっとでは壊れないため、国内に現存するケロリン桶は2021年現在で約300万個と推測されます」(北村さん)
     ===== 後略 =====
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