新型コロナウイルスの影響が長期化する国内の景気。そんな中、日本経済の“復活”に向けて日銀が注目しているのが「強制貯蓄」です。
コロナ禍の中で、外食や旅行などができず、いわば強制的に蓄えられた個人のお金のことです。

日銀が消費や所得に関する統計をもとに行った試算によりますと、強制貯蓄の金額は去年1年間で実に20兆円程度に膨らんでいるとしています。
可処分所得、大ざっぱに言って「給与の手取り分」の約7%に当たるということです。ちなみにこの強制貯蓄は、現金10万円の一律給付を含んでいません。

日銀は、今後ワクチン接種が進むにつれて、待機している20兆円規模のお金が緩やかに取り崩されていき、個人消費の回復につながると見込んでいます。いわゆる“リベンジ消費”が期待されるというわけです。


「強制貯蓄」に加えて、もう1つ、日本経済を読み解くキーワードをご紹介しておきます。
それが「予備的貯蓄」です。将来への備えとして貯めるお金、つまり消費に回りにくいお金のことですが、将来不安が根強いままだと、「強制貯蓄」は「予備的貯蓄」に移る可能性もあります。

先行きが不透明なままでは、貯蓄が消費に回るという経済の好循環は生まれにくいですよね。また、街で話を伺った方からは「余裕が無くて貯蓄どころじゃない」という切実な声も聞かれました。
強制貯蓄が積み上がる一方、生活に困っている人たちへの切れ目ない支援も、コロナ禍が長引く中でいっそう重要になってくると思います。

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2021/7/21
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