近年、急速に普及しているのが、「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」だが、スキャンダル”が相次いでいる。

 大手「日医工」では、出荷検査で不合格となった錠剤を取り換えて再試験したり、錠剤を砕いて再加工したりするなどの不正が明らかになった。少なくとも2011年からの10年間、工場長の指示で行なわれた「組織ぐるみ」の不正だったという。

 2020年12月には、同じくジェネリックを手がける医薬品製造「小林化工」で、同社の経口抗真菌剤(水虫薬)「イトラコナゾール錠」に、睡眠導入剤の成分が混入していた問題が発覚した。

 昨年からの不正発覚は、現在も尾を引いている。日医工や小林化工が生産を一時停止したことなどでジェネリック医薬品の供給が滞り、一部が品薄状態で納品も滞り調剤業務に影響が出ているという。

なぜ今、ジェネリックが多く使われているのか。

(中略)

 『医者はジェネリックを飲まない』の著書がある医師で作家の志賀貢氏が指摘する。

「後発医薬品使用体制加算制度により、病院や薬局はジェネリックを処方する割合が高いと診療・調剤報酬の保険点数が加算されます。例えば病院の外来診療では、1枚の処方箋につきジェネリックの割合が85%以上なら5点、75%以上は4点、70%以上は2点が加算される。処方箋1枚あたり50円以下の加算といえども、1日数千人の外来患者が来る都市部の大学病院などでは、大きな収益源になります。

 薬局も同様で、現在は処方箋の受け付け1回につき、ジェネリックの調剤数量割合が85%以上で28点、80%以上で22点、75%以上で15点が加算されます。こうした加算がある一方で、ジェネリックの調剤比率が低い薬局に対しては調剤基本料の“減算規定”というペナルティが設けられている。アメとムチでジェネリックの普及を推進しようという国の意図があるのです」

※医者は飲んでいない
 ところがもう一方で、ジェネリックの使用に関して医師国民健康保険組合(医師国保)のジェネリック使用率は全体平均を大きく下回っている。

「医師国保のジェネリック使用率が全国平均より少ないことから、全国の医師らがジェネリックの使用に二の足を踏んでいる実情が窺えます」

 医師らのジェネリック使用率が低調な背景には何があるのか。近畿大学薬学部元教授の松山賢治氏はこう指摘する。

「政府主導のジェネリック推進により需要が急拡大したことで新規参入が急増、競争が激化しました。ジェネリックの薬価も下げられ、メーカーは生き残りのためコストダウンや生産量の確保を優先し、品質確保に懸念が生じています。

 利益追求やコスト削減の結果、品質や安全性が疎かになる懸念は、前述した日医工の不正問題を調査した外部有識者の報告書からも読み取れる。

 2018年7月には、中国メーカーの原薬に発がん性物質N-ニトロソジメチルアミンが混入していたことが発覚した。
「トラブルが続くジェネリックに不信感を抱いている医師は少なくない」

※有効成分以外も重要
 先発薬とジェネリック薬の違いについて、前出の松山氏はこう指摘する。

「有効成分は先発薬と同じでも、添付成分が違うので効き方に違いが出ることがあり、場合によっては重大な影響を及ぼす懸念もある。例えば降圧剤のなかには有効成分の効き目が強いため、ゆっくり溶け出すように調整した錠剤を開発し、急激に効果が出て心疾患や脳疾患を引き起こすことがないように工夫されているものがあります。

 ただ、先発薬にあったゆっくりと有効成分が溶け出す二層錠の仕組みが特許で使えず、ジェネリックでは不十分なケースもあり得ます」

 いつき会ハートクリニック院長の佐藤一樹医師もこう指摘する。

「薬は主成分のほかにさまざまな添加物が使われますが、先発薬とジェネリックでは大きく違うことがある。体の中での溶け方や吸収のされ方が違うとなれば、懸念する人がいて当然でしょう。

 そうした場合は、先発品メーカーから公認を得た『オーソライズドジェネリック』や、先発品と原料や製造法、製造場所までが同じ『オートジェネリック』を選ぶという考え方もあるでしょう」

 患者はジェネリック薬への不安にどう対処すべきか。前出・松山氏はこう助言する。

「医師には診察時にジェネリック薬でも大丈夫かを確認し、不安であれば先発薬を希望すると告げて処方箋を書いてもらう。薬局で『ジェネリック薬を希望するか』と聞かれたら、薬剤師の説明をきちんと聞いたうえで決めるようにしたい。どんなに勧められても、選択権が自分にあることを忘れてはいけません」

※週刊ポスト2021年8月13日号

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