東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は4日、大会関係者全員に課している新型コロナウイルスのPCR検査で、陽性が確認されながら個人が特定できていないケースが8件あると発表した。コロナ対策で関係者と外部を遮断する「バブル(泡)方式」にさまざまな「穴」が指摘される中、組織委が繰り返し強調する「強靱な検査体制」でもほころびが浮かんだ。(小嶋麻友美)

唾液を採取する検査は職務に応じて、毎日や4日に1回などの頻度で実施が義務付けられている。原則として、各自は競技会場などで検体を提出するとともに、登録サイトで検体の11桁のバーコード番号、個人の7桁のアクレディテーション(参加資格証)番号と生年月日を入力する。

この際に1文字でも違うと、検査結果が個人にひもづかなくなる。提出者が特定できない8件について、組織委は登録ミスが原因とみている。選手は登録のシステムが異なるため、8件には含まれないという。

大会関係者の検査はこれまでに延べ約50万件行われ、陽性者は4日時点で計330人。組織委は特定できていない8件の提出時期を明かしていないが、提出者は一時的に隔離措置などがないまま業務を続けていた可能性がある。

また、各参加者が検査を受ける頻度はシステムに登録されておらず、規定どおりに検査しているかどうか、組織委が把握できる体制になっていない。検査状況の管理は、各国の競技団体やメディアなど参加組織ごとに割り当てられたコロナ対策責任者(CLO)に丸投げしているのが実態だ。

組織委は「システムの改善などで登録ミスは減少している。登録方法を周知していきたい」としている。

2021年8月4日 18時07分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/121805