2020年11月 福井市内で、酒気を帯びた状態で乗用車を運転し、パトカーから逃走中に2人が死傷する事故を起こした被告の男の裁判員裁判。
9月14日の裁判では被告への質問が行われ、被告の男は被害者に謝罪を述べる一方で、「衝突直前までの記憶がない」と繰り返した。

【画像】検察と弁護士の主張を比較

危険運転か過失運転か…異なる刑の重さ
危険運転致死傷と酒気帯び運転などの罪に問われているのは、福井市新田塚1丁目の元会社役員で坂田達磨被告(47)。

起訴状などによると、坂田被告は2020年11月、福井市内で酒気帯び状態で乗用車を運転し、パトカーの追跡から逃走。交差点に侵入して、軽乗用車と衝突し、軽乗用車の助手席にいた女子大学生(当時18)が死亡し、運転していた男子大学生も重傷を負った。

福井地裁で開かれている裁判員裁判2日目に、被告への質問が行われた。
弁護側から今の気持ちを聞かれた坂田被告は、「本当に尊い命を奪って本当に申し訳ない。どんなに謝っても許してもらえると思っていない」と小声で謝罪の言葉を述べた。

一方、検察側からは、事故の経緯や詳しい状況を聞かれたが、「パトカーの追跡に気づき、1回目に左折してから衝突する直前までの記憶がない」と繰り返した。

起訴状などによると、坂田被告は逃走の際、時速約105kmまで加速していたとされる。裁判で検察側は「被告は、車の進行を制御することが困難な速度で走行し、それを認識していた」などと指摘し、より刑が重い危険運転の適用を主張しているが、弁護側は過失だと反論している。

今回の裁判の争点は、被告に2人死傷という重大な罪を犯す意識があったのか、なかったのか、という点。

【検察側】
・事故直前、時速105kmまで加速していた
・被告は事故現場付近に土地勘があり、高速での走行が重大事故につながることを見通していた

以上の事から「車の運転を制御することが困難な速度であり、それを認識していた」として危険運転致死傷罪が成立すると主張。

【弁護側】
・事故当時の運転にふらつきはない
・被告は、パトカーに追跡されて頭が真っ白になり、スピードや交差点に気付かなかった

以上の事から「制御困難な高速度の危険運転ではなかった」として過失運転致死傷罪を適応すべきだと主張。

危険運転と過失運転では、刑の重さが違う。
危険運転致死傷罪ならば、人を死亡させた場合、最高20年の懲役となるのに対し、過失運転致死傷罪では、最高で懲役7年以下と大きく異なる。

9/19(日) 17:21 FNNプライムオンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/315aa18249c3eab18bbaaf98108cbee0514da880

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