メディアの世論調査を見ると、党員党友票を含む一回目の投票で河野の一位は動かないものの、どの候補も過半数は取れないという予測だ。河野は一発目で過半数を得て勝負を決めたい。河野支持を鮮明にした現職総理の菅義偉は、地方議員や元議員に電話をかけて河野への投票を呼びかけている。自らの不出馬宣言ではコロナ対策に専念する、総裁選と両立できないと言っていたが、内実は両立ばかりかコロナ対策より総裁選に熱心なようだ。

 誰も過半数を取れなければ決選投票は上位2候補で行われる。このような場合、3位4位となりそうな候補の支持議員は、決選で上位2候補のどちらに入れるか事前に決めておくものだ。

 岸田側は今回、総裁選での敵は河野と考えて戦略を練ってきた。そして、当初の目論見では3位の高市を大きく引き離し、3位以下の陣営には決選投票でこちらに投票をお願いしますと言うだけでなびいてくるだろうという計算だった。

 ところが、高市がかなりの票数を稼ぐ可能性が浮上し、お願いだけでは済まず、高市の政策にすり寄る必要が出てきた。告示から数日という今のタイミングが、岸田側近と高市側近で水面下の打ち合わせを始める潮時だろう。高市サイドは現在の善戦を背景に、自らの政策を飲むよう岸田サイドに迫る。岸田の今後の発言を見ていけば、どの辺りで折り合いを付けたのかも分かってくるはずだ。
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