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 ボールウェーブ、東北大学、豊田合成は2021年9月24日、空気中の新型コロナウイルスを直接検出する高速のウイルスセンサー開発を目的とした「ボールSAWウイルスセンサーの原理検証に関する研究」を共同で進めていると発表した。

 患者の呼気から直接ウイルスを検出する診断機器だけでなく、飲食店、公共交通機関や商業施設、一般家庭など、環境空気中のウイルスを数秒で検知できるセンサーの開発を目指している。

 開発中のウイルスセンサーには、ボールウェーブ独自の技術「ボールSAWセンサー」を応用する。ウイルスと結合する抗体やアプタマーをボールSAWセンサー表面に固定し、空気中に浮遊するウイルスのスパイクタンパク質と反応させてウイルスを捉える仕組みだ。エアロゾル中のウイルスは水を被っているため、反応が進みセンサー表面に保持されると考えられる。

 センサーの応答時間は10秒以下。物体の表面に集中して伝播(でんぱ)する弾性表面波(SAW)を利用したボールSAWセンサーは応答を増幅するため、ウイルスが微量でセンサー応答が小さくても高感度な検出が期待できる。

 ボールSAWセンサーの技術に加えて、豊田合成の表面処理技術、東北大学が開発した呼気中のタンパク質や代謝物などの生体分子を網羅的に解析する技術「呼気オミックス」を総合して、共同開発を進めている。

 新型コロナウイルスは空気中のエアロゾルを介して空気感染するといわれているが、空気中のウイルス濃度をリアルタイムで測定する方法はまだ開発されていない。また、現在利用されている最も簡便な新型コロナウイルス感染症の検査法でも、検査に15分以上かかることが課題となっている。

 将来的には、開発したセンサーを情報通信機器に搭載して、ウイルスの拡散状況を実時間で可視化するシステムの開発も視野に入れている。

ソース https://news.yahoo.co.jp/articles/88f2fc4b85ea7f57bd228ce50b7eb614ddf20fb6