20日午前11時43分、熊本県・阿蘇山の中岳第1火口で中規模の噴火が発生した。
気象庁によると、高温の火砕流が火口の西約1300メートルの地点まで到達し、南約900メートルまで噴石が飛散したとみられる。
気象庁は阿蘇山の噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げ、火口から約2キロの範囲で火砕流や噴石に警戒するよう呼びかけている。

気象庁によると、噴煙の高さは上空約3500メートル。
阿蘇山の火砕流発生は、上空約1万1000メートルまで噴煙が上がった2016年10月8日の爆発的噴火以来5年ぶり。
警戒レベル3への引き上げも同日以来。地下のマグマ上昇など、さらに大きな噴火につながる兆候は見られていないという。


火口南側の同県南阿蘇村によると、火口から約2〜3キロエリアでは、少なくとも中岳と隣の高岳の登山ルートに4人、
風光明媚(めいび)な渓谷で知られる「仙酔峡」のルートに10人の登山者がいたが、全員下山した。
登山中だった京都大の観測隊メンバーの無事も確認された。

火口北側の同県阿蘇市は登山者11人の無事を確認。火口南東側の同県高森町も情報収集を急いでいる。
安否が確認された登山者はルート入り口の記帳箱などに入山を届け出た人に限られ、自治体の集計が重複している可能性もある。


気象庁が発表した降灰予報などによると、風で南東方向に火山灰が流され、
熊本県の阿蘇市や高森町、南阿蘇村で1ミリ以上の多量の降灰があり、宮崎県の日向市や延岡市にも達したとみられる。


気象庁は今月13日、火山性微動の振幅が大きい状態が続いていることから、阿蘇山の噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から2に引き上げ、火口周辺1キロ以内の立ち入りを禁止していた。
20日に記者会見した尾崎友亮・気象庁火山監視課長は「阿蘇山でよく見られるタイプの噴火だ。火口から2キロ以内には決して入らず、特に風下側では噴石に注意してほしい」と呼びかけた。

阿蘇山では16年以降も、19年と20年に小規模な噴火が断続的に発生している。

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2021/10/20 17:51
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