日本政策金融公庫(東京)の融資を巡り、貸金業登録を受けていない二つの事業者側が2019年以降、
公明党衆院議員だった遠山清彦・元財務副大臣(52)の元秘書2人と、太田昌孝・前衆院議員(60)の元政策秘書に、
少なくとも計約1600万円の現金を提供していた疑いのあることがわかった。

東京地検特捜部は貸金業法違反容疑で捜査を進めており、現金は違法な仲介にかかわった「謝礼」の可能性があるとみて調べている。

 仲介に関与した疑いがもたれているのは、ともに遠山元議員の元秘書で、今年9月時点では吉田宣弘・衆院議員(53)(比例九州)の政策秘書、公設第2秘書だった2人と、太田前議員の元政策秘書の計3人。
特捜部は8月4日、同法違反容疑の関係先として、東京・永田町の国会議員会館に入る吉田議員らの議員事務所のほか、
遠山元議員が代表取締役を務める東京都内のコンサルティング会社、福岡市内にある元議員の自宅などを捜索していた。

 関係者によると、仲介は、新型コロナウイルス禍で影響を受けた企業に対する公庫の特別融資などを対象に、二つの事業者によって別々に行われた。
秘書らはそれぞれのルートで公庫側に対し、企業の所在地にある支店の担当者を問い合わせたり、契約成立に向けた働きかけを行ったりした。

 遠山元議員側に仲介を依頼していた事業者は、都内で環境関連会社などを営む70歳代男性で、
融資契約が成立する前後に「遠山議員事務所宛て」として現金を渡していた。総額は、19年10月以降で少なくとも600万円に上るという。

 もう一方は都内で通信販売会社を経営していた70歳代男性で、企業側から融資金の3%程度を「手数料」として受け、その一部を太田前議員の元政策秘書に現金で提供。19年6月以降で約1000万円を渡していたとみられる。

 環境関連会社などを営む男性は秘書らへの現金提供を否定しているといい、通信販売会社を経営していた男性は読売新聞の取材に対し、
「話すことは何もない」としている。

 男性2人はいずれも、再生可能エネルギー事業を巡る詐欺などの事件で、
社長らが逮捕・起訴された太陽光発電関連会社「テクノシステム」(横浜市)で顧問などを務めていた。
2人は同社の融資契約についても仲介したとみられている。

 遠山元議員は01年に参院選で初当選。2期目途中に衆院選にくら替え出馬し、衆院当選4回を重ねた。
「次世代のリーダー候補」とされ、19年9月〜20年9月には財務副大臣を務めたが、
緊急事態宣言下に東京・銀座の高級クラブで深夜まで知人と滞在していた問題で今年2月に議員辞職し、今回の衆院選には立候補しなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ec3adcda3e486c6bf11155dfa4903f9700050ff7?page=1