2021.11.12 Fri posted at 08:41


(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は10日、新型コロナウイルス感染症の大流行のため、2200万人の赤ちゃんがはしかワクチンの接種を逸しており、世界中ではしかの脅威が深刻化していると警告した。
はしかは最も感染力の強いウイルスの一つとして知られており、幼い子どもを中心に年間6万人超が死亡している。だが2000年頃は年間100万人超が死亡していた。
CDCは10日に発表した疾病・死亡率週報で、はしか感染例の報告数は17年から19年にかけて再び世界的に増加傾向にあったものの、20年に減少したと説明。これについては必ずしも良いニュースではないと考えているとし、「20年に大規模かつ破壊的な流行が起きており、はしかの伝染の報告が実状よりも少なかったことが示唆される」と研究チームは記している。
CDCは、子どもたち数百万人が新型コロナ感染症のため、ワクチン接種を逸していると指摘。「幼児2200万人超がはしかワクチンの1回目の接種を逸した──19年より300万人多く、年間ではここ20年あまりで最大の増加幅となる」とした。
世界保健機関(WHO)の予防接種部門を統括するケイト・オブライエン博士は声明で、「20年におけるはしかの感染例数は減少した一方、流行のリスクが世界中で増加し続けており、嵐の前の静けさを我々は目にしている可能性が高いことをエビデンスは示唆している」と指摘。
「諸国が新型コロナウイルス感染症に対して、ワクチン接種を出来る限り急ぐのは非常に重要だ。だが、これは新たなリソースを必要とするものであり、必要不可欠な予防接種プログラムを犠牲にして実施するものではない。定例の予防接種は保護や強化をしなければならず、さもなくば我々はある致死性の疾病への対応を別の致死性の疾病と引き換えに行うリスクを負うことになる」と述べた。
CDCおよびWHOはこれまでも、新型コロナウイルスの大流行が子どもたちに対する定例のワクチン接種プログラムに悪影響をもたらしているとして警鐘を鳴らしてきた。
CDCで予防接種に関する国際部門を統括するケビン・クレイン博士は声明で、「ワクチン接種を受けていない多数の子どもたちがいて、はしかの流行があり、新型コロナウイルス感染症の対応に疾病の検知および診断が向けられている状況がある。これは、子どもたちの間ではしか関連の死亡や深刻な合併症が増加する要因となる」と指摘。
「我々ははしかの流行を防ぎ、またワクチンで防ぎ得る疾病のリスクを緩和するため、旅行や通商がコロナの大流行前のレベルに戻る前の今こそ、疾病の監視システムを強化し、予防接種の不足を補うために行動しなければならない」と訴えた。
CDCは、はしかワクチンの接種プログラムが3100万人の死亡を防いだと推定している。

ソース https://www.cnn.co.jp/world/35179297.html