※NHK 北海道のニュース

猟銃所持許可取り消し“著しく妥当性欠く”原告主張認める判決
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20211217/7000041320.html

12月17日 12時11分

砂川市でヒグマを猟銃で駆除した際に住宅の方向に発砲したとして道の公安委員会から銃を所持する許可を取り消された男性がこの処分の取り消しを求めた裁判で、札幌地方裁判所は「社会通念上、著しく妥当性を欠いている」などとして原告の主張を認め、処分を取り消しました。

北海道猟友会砂川支部長の池上治男さん(72)は、3年前、砂川市の要請を受けてヒグマを駆除した際、住宅の方向に発砲したことを理由に道の公安委員会から猟銃を所持する許可を取り消されたのは不当だとして、処分の取り消しを求めました。

これまでの裁判で池上さんは「ヒグマの背後には斜面があり住宅に危険が及ぶことはなかった」と主張したのに対し、被告の道は訴えを退けるよう求めていました。

17日の判決で札幌地裁の廣瀬孝裁判長は「斜面は草木に覆われ、下からのぞいても住宅の屋根が見える程度であり、原告は20メートルほどの近距離でヒグマが立ち止まるのを待って発砲し、弾を命中させた。現場にいた警察官は発砲を制止しておらず、むしろ駆除することを前提に付近の住民の避難誘導にあたっていた」と指摘しました。

そのうえで、「原告は市の要請に基づいて出動しており、形式的に法令違反となる余地があることを理由に猟銃所持の許可を取り消すことは社会通念上、著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱した違法なものだ」として公安委員会による処分を取り消しました。

判決について、公安委員会の事務を担う北海道警察本部は「内容を精査し、今後の対応を検討したい」というコメントを出しました。

【“多くのハンターにとって朗報”】
判決言い渡しのあとの記者会見で、原告の池上治男さんは「全面的にこちらの主張が認められ本当に良かった。多くのハンターにとって朗報だと思う」と話していました。

また、原告の代理人を務める中村憲昭弁護士は判決について当然の結論に達したものだとした上で、「早い段階で裁判官が自らの目で現場を見てくれたことが結論にも影響する判断だったと思う」と述べました。