医は算術なり、という姿を露骨に見せつけられると、さすがに辟易しますね

 この官僚は、そう言って溜息をつきながら、若手医師が書いた「コロナワクチンバイト」の相場に関するブログのコピーを私に見せてくれた。ブログには「他のバイトより相場が高く、取り合いになっています!!」と書かれている。ブログによると、ワクチン接種が進み、夏以降、コロナワクチン接種のアルバイトが減少。募集の案内が自治体のホームページ等に掲載された直後から医師の間で争奪戦が起き、多くの医師が一斉にアクセスするためサーバーがダウンすることもあるという。

ワクチン接種のアルバイト「時給」2万円也

 で肝心のバイトの相場だが、自治体による集団接種が時給2万円。1日8時間バイトすれば、それだけで16万円の実入りだ。以下、職域接種が時給1万7500円、派遣会社経由の病院接種は時給1万円など。平均相場は時給1万5000円という。バイト代に差があるのは派遣会社や病院経営者などによる「中抜き」があるためだ。

 ちなみに先の総選挙落選後、岸田文雄首相のお陰で内閣参与に抜擢されながら、コロナ助成金受給問題の発覚により、わずか1週間で参与を辞任した石原伸晃元経済再生担当相の報酬は、日給(時給ではない)で2万6000円だったが、メディアから「石原氏の失業手当」と世間から厳しい批判を浴びた。それに比べてワクチン接種バイトの「時給」のなんと高額なことか! 

 夏以降、募集が減って来たコロナワクチン接種のバイトだが、オミクロン株のほか、冬季を迎える季節的要因もあって、ここに来てにわかに募集が増えているらしい。

 件のブログは「医師の求人が売り手市場」になって来ているとして、若手医師にこう呼びかけている。「もしかしたら今シーズ限りかもしれない」「シーズンものですので、今のうちに稼いでおきましょう!」

ワクチン接種に加速がついたのは良かったが

 ここで、病院などが中抜きする前のワクチン接種手当について、説明しておくと、診療所や病院でワクチン接種をする場合、政府は都道府県を通じて各種支援金を支給する。

 まず医師がコロナワクチンを一回接種したときの報酬は2070円。1日に50人接種したら10万3500円になる。これがベースだ。さらに週100回以上の接種を4週間以上行った場合は、一回の接種につきベースに2000円を上乗せ。週150回以上、4週間以上行った場合は一回当たり3000円をベースに上乗せする。これ以外に休日手当、時間外手当もつく。

 この他に、診療所や病院が1日50回以上のまとまった接種を行うと、さらに1日10万円が診療所や病院に支給される仕組みもある。

 ワクチン接種報酬が高騰した背景を官邸関係者は次のように説明する。

 しかし菅首相は日医の反対を押し切って歯科医のワクチン接種を可能にし、自衛隊の医官の協力も得て集団接種に踏み切った。

 消極的だった日医をはじめ全国の医師がコロナワクチン接種に積極的に協力し始めるのは、政府が1日10万円の上乗せ支給を打ち出してからです。これを契機に全国の医療機関が我も我もと手を上げ始めた。ある病院では、医師がみんな手を挙げたので、抽選で接種医師を決めたと言います。

 これでワクチン接種が急ピッチで進むことになったのは良かったのですが、一方で医師会の意を汲んで『お金を積んでも医師は協力しない』と自信満々に話していた厚労省幹部たちは政府内で笑いものになりました」

ワクチン接種で「コロナ御殿」

 厚労省が11月末に発表した医療経済実態調査によると、コロナ禍の昨年度、医療法人病院長と診療所院長の年収は、それぞれ約3110万円、2730万円。医師全体の平均収入は約1400万円で、サラリーマンの平均年収433万円の約3倍。

 「コロナワクチン接種の諸手当により“コロナ御殿”が建ちそうだという医療関係者が結構います。医師以外でもできることを独占して、高い報酬を得るのは国民の1人としてとても不愉快です」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8189da767b6dde2eb4149a05fa611be31ee77fe1?page=3