政府の基本的対処方針分科会の尾身茂会長は7日の会合後、今後のオミクロン株対策について「重症化しやすい高齢者を守ることが重要だ」と述べ、高齢者へのワクチン3回目接種を急ぐことを最優先課題にすべきだとの考えを示した。
 尾身会長は「感染拡大のスピードがものすごく速く、感染者はあっという間に倍になる」とし、医療提供体制が逼迫することへの懸念を示した。現状では、オミクロン株感染者の重症化率が低いことから、「多くの人に『大したことないんじゃないか』との思いがある」としつつ、油断はできないと強調する。
 沖縄県では若者の感染者が急増しているが、過去の傾向を踏まえ、今後は感染者の波が高齢者に移る可能性があるとみる。「(3回目の)追加接種の前倒しをかなりやっているが、少しでも早くやっていただきたい」と求めた。
 尾身会長は、7日の会合では「(医療逼迫などの)状況によっては緊急事態宣言を出すことも考えておいた方がよい、という意見が出た」と明かした。一方で、高齢者の3回目接種が進み、米ファイザーの飲み薬が国内で供給される見通しの2月には、「明るい兆しが出てくると思う」とも述べた。
 市民に対しては、「マスクをして、飲食の際に大声を出さず、換気もする。学んできたことを注意深くやってほしい」と呼び掛けた。(池田悌一)

東京新聞 2022年1月7日 19時38分
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