新型コロナ感染拡大の「第6波」は、勢いが止まる気配がない。16日も全国の新規感染者は2万5000人を突破。
大阪、広島、鳥取などの新規感染者数は過去最多を更新してしまった。

全国の療養者数も、元日の3000人から10万人に膨れ上がっている。

気がかりなのが濃厚接触者が急増することだ。感染者数よりも数倍のペースで増えていくからだ。
このままでは、日本中が濃厚接触者であふれかえる恐れがある。

1人の感染者に対して濃厚接触者は何人いるのか。国立感染症研究所が富山県のデータ(2020年7〜10月)について分析したところ、
123人の感染者に対して濃厚接触者は530人だった。1人につき4.3人となる。沖縄県では1人の感染者からの濃厚接触者は4〜5人といわれ、
沖縄には現在4万〜5万人の濃厚接触者がいるとみられている。

どうやら「感染者1人に対して4〜5人の濃厚接触者」というのが相場のようだ。

東京の濃厚接触者は何人なのか──。都は「いま何人の濃厚接触者がいるかは把握していません」(感染症対策部)と回答。
そこで日刊ゲンダイは独自試算してみた。隔離期間は10日(エッセンシャルワーカーは6日)に短縮されたので、平均7日の隔離で計算した。

16日までの7日間の新規感染者数は約2万人。これに4〜5人の濃厚接触者がいるとすると、8万〜10万人に上る計算だ。

オミクロン株が牽引する第6波はまだまだ序の口だ。この先、感染者はさらに増える可能性が高い。
実際、都のモニタリング会議は、今月20日には新規感染者数は9500人を超えると試算している。

もし、9500人が1週間続けば、濃厚接触者は26万〜33万人に膨れ上がる。33万人を隔離せざるを得なくなると社会活動がストップする可能性も出てくる。

岸田政権は濃厚接触者の隔離期間をさらに短縮することを検討している。復帰を早めて社会経済活動が停滞することを食い止めるためだ。
しかし、感染者がケタ違いで増えていけば焼け石に水だ。オミクロン株の感染力が半端でないことは欧米で見せつけられている。

昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)が言う。

「欧米並みにはならないにしても、日本でもオミクロン株によって感染者数がさらに増え続ける勢いを見せています。
なのに、政府や自治体の感染抑制策は、やや消極的との印象です。もちろん、医療体制を重視し、オミクロン株に対応して隔離期間の短縮といった措置も必要かも知れません。
ただし、同時に行動制限を含めた感染抑制策も重要です。対策の効果は遅れて出ます。早めに手を打つべきでしょう」

陽性者を自宅療養に追いやり、病床逼迫が避けられても、濃厚接触者があふれかえれば、社会経済活動は回らなくなる。
目の色変えて感染自体を抑えなければならない。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/300021