山陰中央新報デジタル2022年1月17日(月)
https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/150237

 山陰に全国チェーンの有名店が進出する際は、47都道府県の最後になるケースが多い。山陰が最後尾になる理由はやはり人口が少ないからなのか。全国展開する企業の担当者や企業情報を分析する専門家に聞いた。(Sデジ編集部・吉野仁士)

 21日、イタリアンレストラン「サイゼリヤ」が、山陰初の店舗をイオンモール日吉津(鳥取県日吉津村日吉津)内にオープンする。鳥取県への進出により、同社の本州の未進出県は島根、青森、岩手の3県になった。四国、九州地方を除けば山陰両県はほぼ最後になった。

 ▼市場環境や顧客ニーズで判断

 玩具・子ども用品総合専門の日本トイザらス(神奈川県)は全国で島根県と山梨県にだけ店舗がない(1月時点)。広報担当者によると、山梨県には2014年まで店舗があったため、過去に出店したことがないのは島根県のみだという。

 四国や九州を含めても島根県が唯一の未進出。他県と違う要因があるのか。担当者に進出しない理由を尋ねた。

「商業施設内などでの出店機会のお話をいただいた際、商圏の市場環境や顧客ニーズを総合的に検討している。残念ながらこれまで島根県では出店に至っていない」(広報担当者)。

 島根県への出店の検討はあったらしい。具体的な理由については社外秘で聞けなかったが、さまざまな要因が絡み、出店しない状況が続いているそうだ。今後、島根県への進出の可能性を問うと「出店のお話をいただいた際には、検討させていただきたい」と前向きな答えが返ってきた。

2005年にオープンした、米子しんまち天満屋内の「米子ロフト」。有名な生活雑貨チェーンということもあり、オープン1年目で21万人が来店したという(資料)
 生活雑貨のロフト(東京都)の広報担当者によると、全国139店舗のうち、島根県や山形県、和歌山県など9県に店舗がない。未進出の理由について「自社物件でなくテナントとして展開するので、個々の商業施設のポテンシャルが大きく関連する。全国各地への物件検証は行っているが、島根県では今までの所ご縁がなかった」と話す。ロフトは大型ショッピングセンター内に店舗を構えるスタイル。ロフトのようにテナントとして進出する企業は店舗が入る大型商業施設が重要になるようだ。大きさだけで言えば山陰両県には大型の商業施設は複数あるが、集客力や家賃などの入店条件など細かな要因があるのだろう。

 鳥取県のみ未進出の築地銀だこを展開するホットランド(東京都)をはじめ、複数の企業に問い合わせをしたが「社外秘の情報」として明確な回答は得られなかった。

 ▼山陰に出店しにくい三つの要因

 企業情報を収集して、分析する信用調査会社、帝国データバンク(東京都)松江支店の豊田貴志支店長(48)に山陰への出店が全国最後尾になる理由を尋ねた。豊田支店長によると、大きく三つの要因が考えられるという。

 一つ目は人口。そこで暮らす人の数が売り上げに密接に関わるため、企業はまず人が集まる場所に優先的に出店を考えるという。

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