2021年末、南太平洋の島国トンガで、海面から顔を出していたある火山島フンガトンガ・フンガハアパイが噴火を始めた。
当初は灰色の噴煙と控えめな爆発が起こる程度のもので、トンガの住民以外に気付く人もほとんどいなかった。

年明け早々にいったん活動が穏やかになったが、その後一転して激しくなり、
高く上がった火山灰の柱は、記録的な量の雷を発生させた。

「1分間に5000〜6000回、つまり1秒間に100回の雷が発生するようになったのです。信じがたい量です」。
気象測定を行うフィンランドの企業ヴァイサラ社のクリス・バガスキー氏はそう述べている。

そして1月15日、火山は凄まじい爆発を起こした。大気は吹き飛ばされ、衝撃波となって音速に近い速さで島から放射状に広がった。
ソニックブーム(衝撃波に伴う音)は、2000キロ以上離れたニュージーランドでも聞かれ、
衝撃波は最終的に地球を半周して1万6000キロも離れた英国にまで到達した。

人々を震え上がらせたのは、その後すぐに発生した津波だった。津波は火山から数十キロ南、首都ヌクアロファがあるトンガタプ島を襲った。
通信は遮断され、街は洪水に見舞われた。規模は小さかったものの、津波は広大な海を越えて北米太平洋岸北西部にも押し寄せた。

同火山の地史に関する最近の研究によると、今回のような激しい活動は、およそ1000年に一度しか起こらないと考えられている。

願わくば、最も激しい噴火はすでに終わったと考えたいところだ。しかし、たとえそうだったとしても、すでに被害は生じている。

トンガにとって「これは壊滅的な打撃になる可能性があります」と語るのは、米スミソニアン協会の火山学者ジャニーン・クリプナー氏だ。
「現時点では、わかっていることよりも疑問の方がはるかに多い状態です」。

それでも、地殻変動や地質学的な要因と、それが今後の火山にどのような影響を及ぼすかについて、
科学者たちが知っていることを以下に紹介する。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/011800026/