「重症者数が増えてきているのがムチャクチャ心配だ」──。1月30日のNHK日曜討論で自民党の高市政調会長は強い警戒感を示した。
オミクロン株は軽症がほとんど、との指摘もあるが、重症者数の「増加ペース」は、第4波(アルファ株)や第5波(デルタ株)に匹敵することが日刊ゲンダイの調べで分かった。

東大の仲田泰祐准教授らの試算によると、第6波の東京の重症化率(都基準による)は、第5波の25分の1にとどまるという。
しかし、全国ベースで見ると重症者数は試算より、多いように見える。

全国の重症者数はすでに第5波のピークの3分の1を超えている。
足元の新規感染者数が第5波の3倍超に上っていることを考慮しても、重症化率25分の1なら、重症者はもっと少ないはずだ。

重症者数の「増加ペース」を過去の波と比べてみた。
1月30日の全国の重症者数は767人。昨年12月30日の46人から“4週間”で721人も増えている。

アルファ株が牽引した第4波の入り口を調べると、重症者数が上昇に転じ、
700人増えるのに“5週間”かかっている(3月23日の320人から5月1日の1020人)。

デルタ株が猛威を振るった第5波では“3週間”で約700人増えている(7月16日の376人から8月7日の1068人)。

第6波の「“4週間”で重症者数721人増」は、過去の波と同等の増加ペースなのだ。
とくに、東京、大阪、沖縄で重症者数が増えている。高齢者に感染が広がっているのが大きな原因のようだ。

西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。

「当初は重症化リスクの低い若年層がオミクロン株の感染の中心でした。現在は高齢者にも広がりつつあり、重症者増につながっています。
高齢者の3回目のワクチン接種が本格化するのはこれからです。当面は高齢者を中心に重症者数の増加傾向が続く可能性が高い」

第6波の重症者数はどこまで増えるのか。第5波までを見る限り、感染者の増加に遅れて重症者が増えている。
実際、第4波では新規感染者数の最多から遅れて18日後、第5波では15日後に重症者数のピークを迎えている。

第6波の感染ピークは2月上旬から3月上旬とされているが、そこから2〜3週間、重症者数はピークに向かって増え続ける恐れがある。
この先、過去最多の重症者数2223人(昨年9月4日)を上回ってもおかしくない。

「緊急事態宣言の効果は大いに疑問です。ただ、一定のアナウンス効果はあるし、
自治体も規制を伴う感染抑制策を打ちやすくなる面はあります。政府は重症者数を含めて慎重に判断するとの意向ですが、重症者が増えてからでは遅い。
重症者増を先取りする感染者数が増え続け、重症者数の増加傾向が明らかなのに、何をモタモタしているのか」(中原英臣氏)

「オミクロン株は軽症」との先入観は捨てた方がいい。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/300678#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3