2022年02月08日

牧田寛

―[コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」]―

希望的観測を全て蹴散らしたオミクロン株Surge

 南アフリカ共和国(南ア)でオミクロン株(以下、ο株)が発見・報告されたのが2021年11月24日でしたが、それからわずかひと月で、ほぼ全世界の国々でο株Surge(サージ;波)が発生し、現在発見から3か月目に入りました。
南アでの日毎新規感染者統計を見るとο株Surgeは、2021年11月初旬に始まっていますので、ちょうど丸3か月経過しています。
筆者は、11月24日と1月15日公開の日刊SPA!記事中で、第6波エピデミックSurgeの予測を公開しましたが、現実は、最悪の推移をとりつつあります。1月31日には、文化放送「大竹まこと ゴールデンラジオ」にてお話しさせていただいていますのでご参考下さい*。

<*放送アーカイブ 大竹まこと ゴールデンラジオ!「大竹メインディッシュ」2022年1月31日 牧田寛 PodcastQR 文化放送>  

本邦では、ο株が2021年11月29日に空港検疫で発見され、12月中下旬、12月20日頃から沖縄県、中国地方で第6波エピデミックSurgeがο株ドミナント(主体、主たる地位)に変わり始め、年末年始には、ほぼ全都道府県でのドミナントがο株に置き換わりました。  

一番遅かったのは東北で、例えば宮城県では2022年1月4日には日毎新規感染者数の波形がο株Surgeに特徴の急峻な伸びに変わっています。  

正確かつ正式なドミナントの推移は、国立感染症研究所(感染研)によるゲノムサーベイランス結果を待つことになりますが、本邦はゲノムサーベイランスがとても遅く、確定値が出るまでには8週間を要します。そのため筆者は、日毎新規感染者数統計の波形変化からドミナントの変化を推定しています。

「ο株は、弱毒性で普通の風邪」などという科学的にも医学的にも何の根拠も無い風説を撒き散らす人やメディアが本邦でも多数見られ、政府もそれに惑わされてきましたが、案の定、2022年2月3日現在で日毎死者数はδ株Surge(第5波)を上回り、過去最大の第4波を上回ることはほぼ確実です。  

加えて過去最大の死者数を計上した第3波もおおきく上回ると見込まれます。  

これは、SARS-CoV-2が空気感染する上にο株が「もはやこれ以上の感染力を持つ株は現れないだろう」と言われたδ株を桁で上回る、麻疹(はしか)並みかそれを超える感染力を持つ株であるためです。
検査の飽和による統計の歪みを補正すると、δ株の10倍以上の高さの波となっていることが根本的原因です。また、沖縄県のように死亡統計が集計の遅れで45〜60日程度遅延している自治体を除き、多くの自治体で死亡のο株Surgeが始まっています。
このことからも、ワクチン接種による死亡回避が発揮されているとしても第2波の欧州系株程度の毒性は少なくともあると筆者は考えています。  

以上の事実はο株が、インフルエンザ(Flu)でも強毒性のアジアかぜなどより強力であることを示します。一方で、Flu対策に比べれば強力な感染症対策を本邦では民間の個々人主導で行っていること、第1世代COVID-19ワクチン接種事業の成功などによってスペインかぜほどの死亡は生じなくなっています。  

少なくともο株は弱毒性でただの風邪などと言う極めて非科学的かつ根拠のない主張は、ο株Surgeの前には鎧袖一触(がいしゅういっしょく)となりました。


https://nikkan-spa.jp/wp-content/uploads/2022/02/co-8-550x221.jpg
日本における日毎新規感染者数(青/ppm)と日毎死亡者数(黄/ppm)、検査充実率の推移(黒/片対数 左軸) 2021/01/01〜2022/02/03。(NHK集計と厚労省集計。統計処理と作図は牧田による)





四度(よたび)検査飽和、統計崩壊を起こした日本
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://nikkan-spa.jp/1810477