新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。流行するオミクロン株は軽症が大半だが、
かつてないペースでの感染者の増加に医療現場にかかる負担は大きくなっている。

発熱外来での検査や、自宅療養者の健康観察を続ける安斎医院(狭山市)の安斎博雅院長(48)=写真=に現状を聞いた。

「息子に三九度の熱が出てしまった」。五日午後、安斎さんのスマートフォンに自宅療養中の女性から祈るような声で検査の依頼が入った。
この日は休診日だったが、職員の家族が感染したという学校からの相談の電話もかかってきた。

同医院は一月中、発熱外来で約三百二十人を検査した。安斎さんは「診療日は朝から予約の電話が鳴りっぱなし。一日に十人以上は断っている」と明かす。
患者が殺到する中、家族に感染者が出た職員数人が濃厚接触者と認定され、出勤できなくなった。この態勢では十分に対応できないとして、
今月八日から発熱外来での新規受け入れを当面休止することにした。

PCR検査試薬や抗原検査キットの不足も深刻という。五日時点で在庫はそれぞれ三十四人分と百人分のみで、
「検査ができなくなる可能性が現実的になってきた」。

今週に入り市などの支援で補充できたものの、少ない資源を有効に使うため検査する濃厚接触者の範囲を限定。
従来は症状の有無にかかわらず全員検査していたが、自宅待機中に症状が現れた人に対象を絞っている。

自宅療養者の健康観察も、年明けから百人以上を受け持ってきた。
患者の自宅に酸素濃縮器を運んだこともある昨夏の「第五波」に比べれば、「切迫した状況ではない」と安斎さん。

ただ、「(第五波の)デルタ株の症状が重すぎて、それよりはましという印象」と楽観はしていない。
患者の経過を集計すると、三十代以上はオミクロン株でも三日間ほど発熱が続く人が多かった。持病がある場合はデルタ株と同様、症状の悪化もみられた。

高血圧や糖尿病がある狭山市の男性(59)は一月末に陽性が判明した。「のどが腫れて、唾を飲み込むのも苦しかった」といい、血中の酸素飽和度は一時、中等症レベルに低下。
経口薬「モルヌピラビル」を処方され、回復に至った。

安斎さんは今、こうした中高年への感染の広がりを実感している。「年齢層が上がれば、中等症以上が増えることは当然懸念される」。
さらに子どもの感染も目立ち、「学校から家庭内へと連鎖し、一家全員感染も珍しくない」と語る。


私たちにできることは何か。「目新しくないが、やはり基本的な感染対策とワクチンを早く打つこと。
具合が悪ければ大丈夫だと思わずに、コロナかもしれないという感覚で生活してほしい」と呼び掛ける。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/159161#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3

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