コラム:日本経済に痛撃、資源高騰による貿易赤字拡大と円安のスパイラル=佐々木融氏
By 佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 市場調査本部長

[東京 14日] - ゆっくりと進行すると考えられていた貿易赤字拡大と円安のスパイラルが、
ロシアのウクライナ攻撃により一気に加速し始めているようだ。資源や食料の多くを輸入に頼る日本にとって、
こうした事態はできれば避けたいところだったが、日本にとって厳しい現実が迫ってきている。

日本の貿易構造は2011年の東日本大震災を契機に大きく変わってしまっている。
大震災の2年後の2013年ごろから日本企業の対外直接投資が急増し、それがアベノミクス下での円安進行を支えていたが、
こうした対外直接投資の急増は、サプライチェーンを大きく変えるための投資が背景にあったと考えられる。

この結果、例えば日本からの電子機器の輸出は減少する一方、アジアや欧州からの電子機器の輸入が増加した。
他にも欧州からの化学製品や自動車などの輸入が増えた。

大震災以降の日本の貿易収支の原油価格に対する感応度は、それ依然と比べて2倍程度にまで高まっている。
大震災以降の関係でみると、原油価格が120ドル程度で推移し続けると日本の貿易赤字は対名目国内総生産(G?P)比2%(約10兆円の赤字)、
150ドルで対名目GDP比3%(約15兆円)まで拡大する計算となる。

<ブレント185ドル、1ドル125円の試算も>

しかし、状況はさらに悪化している可能性がある。現状、ロシア産原油の約7割は買い手が見つかっていない状態にあると見られている。
J.P.モルガンのコモディティ調査部の試算によると、今年いっぱいロシアからの石油の供給混乱が続けば、ブレント価格は年末までに1バレルあたり185ドルまで上昇する可能性がある。

そうなると日本の貿易赤字は対名目GDP比4─4.5%程度まで拡大する可能性があり、
最近の貿易収支とドル/円相場の相関から推計すると、ドル/円は125円程度まで上昇する計算となる。

日本の輸入の詳細を見ると、原油・粗油、石油製品、そして原油価格に連動する長期契約が多いとされる液化天然ガス(LNG)の輸入の合計額は輸入全体の16%を占める。
これに加えて、日本の輸入全体の3%を占める石炭の先物価格も2月下旬以降、2倍以上に急騰している。
このままロシア・ウクライナ情勢が混沌とした状況が続くとすると、我々の生活に対するエネルギー価格高騰の影響はこれから出てくることになる。

(以下ソースにて)
https://jp.reuters.com/article/column-toru-sasaki-idJPKCN2LB025

※前スレ
【経済】1ドル125円程度まで円安進行の可能性 J.P.モルガン試算 [ボラえもん★]
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1647240315/