ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、戦争で引き裂かれた男女の愛を描いた1970年のイタリア映画「ひまわり」が、再び脚光を浴びている。宮城県内では8日以降、仙台市の映画館など2カ所で上映される。関係者は「今、戦火にさらされているクリミア半島の北側が作品の舞台。映画を通じ、戦争の罪悪に思いを巡らせてほしい」と訴える。

 映画には、出征したまま帰らぬ夫(マルチェロ・マストロヤンニ)を捜す妻(ソフィア・ローレン)がさまようヒマワリ畑の風景が登場。これはウクライナ南部のヘルソン州で撮影された。畑には、第2次世界大戦中のドイツとソ連の戦いによる、おびただしい数の死者が埋められていたとされる。

 仙台市では8〜14日に宮城野区の映画館チネ・ラヴィータで、9日に青葉区のせんだいメディアテークで上映される。

 メディアテークで緊急上映会を開くシネマとうほくの鳥居明夫社長(73)は「同じ場所が今、再び戦場となった。第2次大戦からの70余年、人間は何を学んだのか」と語気を強める。

 3月上旬、鳥居さんがウクライナ情勢に心を痛め、映画人として何かできないかと考えていたところ、秋田市の同業者から仙台での上映会開催の打診があったという。

 緊急上映会は午前10時、午後0時半、午後3時の開催。ウクライナ第2の都市ハルキウ(ハリコフ)出身で仙台市在住の女性、高橋旺礼南(おれな)さんが各回の上映後、現地の情勢を語る。旺礼南さんの兄は戦地へ向かい、母親とは連絡が取れない状態が続いているという。

 メディアテークの上映会の観覧料は一般1500円、大学生1300円、中高校生800円。経費を除く収益と会場での募金は全額、非政府組織(NGO)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを通じてウクライナに贈られる。連絡先はシネマとうほく022(225)098X。

河北新報 2022年4月6日 6:00
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