新型コロナウイルスの「第6波」はかつてない勢いで広がり、その後も新規感染者数は下げ止まりが見られる。
これまでの流行とはどのように違っていて、これから私たちはコロナとどう向き合っていくべきなのか。

コロナ対応の最前線に立つあかし保健所(兵庫県明石市)の浜田昌範所長(64)に聞いた。


−今年2月の死者数は「第4波」が来た昨年5月と並んで過去最多だった。

「過去の流行と同じく、高齢者が亡くなっているが、亡くなる状況は少し違う。
第4、5波はコロナによる肺炎が原因だったが、今回の第6波は、喉の痛みでご飯を食べにくくて誤嚥(ごえん)性肺炎や栄養失調を起こしたり、
発熱で脈が速くなって心不全になったりしている。私は第4、5波のときに患者宅へ酸素濃縮器を配って回ったが、第6波ではほとんどなかった。
同じ新型コロナウイルスといっても、株の変異で症状がころっと変わることに驚いた」


−第6波のオミクロン株は第4、5波の株と比べてどんな特色があるのか。

「第4波で5日以上だった潜伏期間は、第5波で4日、第6波で3日と、どんどん短くなった。感染力は当初の株を1とすると、第4波が2・3、第5波が7・6、第6波は15に高まった。
第5波と比べて第6波はワクチンの効きが悪くなったが、感染者を重症化させるアミノ酸変異はなかった。一般的に、感染力が高まる一方、毒性が低くなるのがウイルスの進化と言われる」


−1〜3月に市内で確認された感染者は約1万3千人と、過去の流行と比べて桁違いに多かった。

「重症化しにくいとはいえ、感染者の増加に伴って重症者も増え、病床が逼迫(ひっぱく)した。第4、5波は呼吸器を着けて人工心肺を回す人が目立ったのに対し、
第6波は呼吸器や心臓などの持病を悪化させる高齢者が多かった。市民病院が重症患者を受け入れられるよう、回復した患者に後方支援病院へ転院してもらったが、
介護が必要なため、自宅や施設へ戻れない人が目立った。ワクチンの3回目接種が進んで、重症化する高齢者は急に減った」


−第6波の感染が拡大した経緯を振り返ると。

「1月初めに高齢者施設でクラスター(感染者集団)が起きて、流行の到来を実感した。1月半ばから保育園や幼稚園でクラスターが多発すると、『感染を止められない』と感じた。
大人と違ってワクチンを接種していないからなのか、理由はよく分からないが、子どもの感染が多かった。家族で誰かが感染すると、ほぼ確実に全員へうつった」
https://www.kobe-np.co.jp/news/akashi/202204/0015195525.shtml#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3


インタビューに応じるあかし保健所の浜田昌範所長
https://i.kobe-np.co.jp/news/akashi/202204/img/b_15195526.jpg