スポーツ庁が主導する公立中学校の運動部活動改革で、具体的な方策や課題をまとめる有識者会議の提言の素案が25日、判明した。休日の部活動指導を民間スポーツ団体などに委ねる「地域移行」について、2023〜25年度を「改革集中期間」と位置付け、同年度末までに全国で達成すると目標を掲げる。地域移行に伴って生徒がスポーツ団体に会費を払うことも明記し、保護者の理解を得るよう努めることも求める。

 有識者会議は提言案の細部を詰め、5月に取りまとめる予定。地域移行は、少子化で危機に陥っている部活動の存続、土・日曜や祝日も指導に携わっている顧問教員らの負担軽減が狙い。総合型地域スポーツクラブや小学生向けスポーツ少年団などが学校に指導者を派遣したり、校外の練習拠点に生徒を集めたりする形を目指す。既に一部のモデル校で移行が始まっている。

 有識者会議は、離島や山間部といった特殊事情のある地域を除き、全国の自治体や関係団体の調整を一気に進める必要があると判断して、期限の目安を設定する。各都道府県が推進計画を策定し、それに基づいて市区町村も計画を立てるよう、国に規定を設けることを求める。都道府県には進捗(しんちょく)の度合いを定期的に調査し、課題のある市区町村に対して指導してもらう。態勢が整いやすい地域には、平日の移行も進めるなど柔軟な運用を推奨する。

 また、生徒が学校側に払う部費に加えて新たな負担が発生するため、施設利用料の減免、経済的に困窮する家庭への補助、企業の寄付などの解決案を示す。指導者については一定のレベルの維持やトラブル防止のため、日本スポーツ協会などの公認資格の取得を促す。自治体に対しては、休日指導も希望する教員がスポーツ団体と個別に契約して報酬を受け取れるような規定の整備を求める。

読売新聞2022/04/26 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20220425-OYT1T50271/