厄介者のイメージが強い東京都心のカラスが減っている。都などが対策を始めてから約20年で、3分の1以下になった。生息数の推移から透けてみえるのは、ゴミを巡る世の中の変化だ。(渋谷功太郎)

 「毎朝、飲食店などが出したゴミ袋が破られ、道を歩けないほど残飯が散らかっていた」。東京・銀座の雑貨店経営の男性(64)が、1990年代後半の街の様子を振り返る。各店が蓋付きゴミ箱を導入し、午前2時から回収する今は、カラスを見なくなった。

 都心のカラスは80年代から増え、2000年前後が最も多かった。都には01年度、「ゴミを散らかす」「鳴き声がうるさい」「襲われて怖い」など計3754件の苦情が寄せられ、社会問題化した。

 都は01年9月、石原慎太郎知事(当時)の号令で「カラス対策プロジェクトチーム」を発足。都内40か所の大きいねぐらを調べ、計約3万6400羽の生息を確認した。

 餌となるゴミの早朝収集を自治体に呼びかけるとともに、わなによる駆除を開始。杉並区が中身の見えにくい黄色い袋を導入したり、企業がカラスが嫌う激辛成分を塗った袋を販売したりもした。

「食べ放題」

 カラスは昔から多かったわけではない。都が1973~78年に行った調査では、都心で大規模繁殖は確認されておらず、「素行の悪さ」も問題になっていなかった。

 研究者らでつくる「都市鳥研究会」は明治神宮(渋谷区)、豊島岡墓地(文京区)、国立科学博物館付属自然教育園(港区)で、5年ごとに生息数を調べている。85年の初調査は6737羽で、90年は約1・6倍(1万863羽)になった。

※続きは元ソースで御覧ください

読売新聞オンライン 2022/05/09 14:25
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220509-OYT1T50062/?ref=webpush