産経新聞 5/12(木) 21:42

近畿日本鉄道が来春からの運賃値上げを国土交通相に申請したことをめぐり、奈良県は12日、7月14日に開かれる国交省の運輸審議会の公聴会に荒井正吾知事が出席すると発表した。県は近鉄の経営方針や運賃値上げの妥当性を問う公述書をまとめ、審議会に提出。荒井知事は12日の定例記者会見で内容を公表し、「県民に多大な負担が課されることになる」と懸念を示した。

公述書では、他の関西の私鉄も新型コロナウイルスの影響を受けるなか、近鉄のみ運賃値上げを申請する理由を疑問視。令和元年度の輸送人員は関西大手私鉄の中で唯一、10年前と比べて減少しているとし、鉄道部門の収益性や効率性の低さも指摘している。

また、特急に投資する一方、一般車両の更新や駅のバリアフリー化が進んでいないとして「日常的な利用者向けのサービス改善や投資が十分ではない」と苦言を呈した。

現時点でも関西大手私鉄では運賃が最も高い水準にあり、今回の改定申請が認められればさらに高くなるとし、「県民の理解が得られない」と主張している。

荒井知事は「利用者の声を代弁する思いでつくった。近鉄にはこれだけの負担を県民や利用者にかけることについて、まず説明してもらいたい」と述べた。

近鉄は、新型コロナの収束後も利用客数の回復が見込めないことなどを理由に、4月に改定を申請した。近鉄側は産経新聞の取材に「当社としては、27年ぶりとなる運賃改定により、安全・安心・快適な輸送サービスを、これからもお客さまに提供します。お客さまには、どうかご理解賜りますようお願い申し上げます」とコメントした。

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