日本維新の会には、国会議員の政調会長が2人いる。「なんで政調会長が2人いるんだ?」という疑問が、1人目の政調会長・音喜多駿氏のもとへ殺到したと音喜多氏自身が告白しているぐらいだから、国民にとってわかりにくいのは間違いないだろう。

 現在、維新の政調会長は、国会議員の政策責任者である足立康史氏と、維新全体の政策責任者である音喜多氏の二頭体制になっている。昨年、松井一郎代表は、参議院選挙を睨んで、音喜多氏を政調会長に大抜擢。これまでの維新における論功行賞で足立氏を国会議員団の政調会長に置いたのだ。

 つまり、国会だけに収まる政策や議論については、足立氏。維新全体や地方行政にも影響がある部分については音喜多氏が担当するという役割分担なのだが、国会で議論されることのほとんどが維新全体、地方行政にも強い影響を与えるため、2人の政調会長の守備範囲が必然的にかぶってしまうのだ。そして何よりの問題は、足立氏がこれまで後輩議員として扱っていた音喜多氏が、ポジションとしては足立氏の上になったことだ。

 この2人、言っていることがバラバラな上に、仲が良くないことで知られている。それが端的に明らかになったのは、「減税の公約」についてだ。

 維新は、昨年の衆院選挙で「大胆な減税」を掲げ、勝利。選挙後、松井代表は「国民と約束した公約実現に全力を尽くしたい」とした。音喜多氏は、この松井代表の言葉に忠実に行動しようとしたが、足立氏は政調役員会で「維新は減税政党ではない」「減税は一時的な景気対策であって、<中略>中長期的には増税になる」とぶち上げた。

 大半の維新議員は、選挙で「増税の前にすることがある」「行政のムダや高齢者に偏った補助金を徹底的に見直すことで財源を捻出する」と選挙で訴えてきた。当然、足立氏も自身の選挙では減税を訴えた。

 しかし、選挙後に、足立氏は、維新が増税政党であることを一方的に宣言。それに異を唱える議員たちを次々と論破していったのだ。

 音喜多氏は、このやりとりの仲裁に入ろうとしたが、足立氏は激怒、音喜多氏のTwitterをブロックするに至った。

 それ以来、両者は「1分たりとも話をしていない」ことを足立氏は6月17日のYouTubeで明らかにした。こんな状態が半年近くも続く維新だが、ガバナンスの在り方として適切なのだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/43577dd13104da1676f09f72adc6cc279815ae65