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長時間労働で適応障害 大阪府立高校教諭の訴え認め賠償命令
06月28日 15時08分

教員の長時間労働が課題となる中、大阪の府立高校の現職の教諭が恒常的に長時間労働を強いられ、適応障害を発症したと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は「学校側は抜本的な業務負担の軽減策を講じなかった」と指摘して、訴えを全面的に認め、学校側に賠償を命じました。

大阪の府立高校の教諭で社会科を教える西本武史さん(34)は、5年前に、学級担任の受け持ちに加えて、夜間や休日の部活動の指導や語学研修の引率などで、恒常的に長時間労働を強いられて適応障害を発症し、あわせて4か月余りの休職を余儀なくされたとして、3年前、大阪府に賠償を求める訴えを起こしていました。
現職の教諭が学校側を訴えるのは異例で、ことし2月には、適応障害の発症について、公務災害と認められていました。
28日の判決で、大阪地方裁判所の横田典子 裁判長は、「適応障害を発症する前の半年間の時間外労働の平均は1か月あたりおよそ100時間で、心身の健康を害する強さの心理的負荷であった」と指摘しました。
この裁判で府側は、当時の校長の責任について、「教員の業務は自主性や自発性に委ねられるところが大きく、時間外労働は校長からの命令ではない」などと主張していましたが、判決は、「教員の心身の健康を損なうことがないように注意する校長の義務は、時間外勤務が校長による命令ではなくても勤務時間の量が過重かどうかで評価するのが相当だ」と指摘しました。
そのうえで、「校長は、西本さんから『このままでは死んでしまう。体も精神もボロボロです』などというメールを受信していながら、休むようになどの声かけをするのみで、抜本的な業務負担を軽減する対策を講じなかった」として、訴えを全面的に認め、学校側に230万円余りの賠償を命じました。

【原告“現場から声上げる”】。
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20220628/2000062876.html