AERA dot.編集部・吉崎洋夫7/19 06:00
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【データ】MARCHで最も男子学生比率が高いのはどこ?
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女子志願者を増やすことは、大学にとって一つのキーポイントだ。より多くの受験生を確保するという観点だけでなく、学問や研究の多様性を重視したいという考えも背景にある。東京大など、女子学生比率の低さが課題になる大学もあるなか、立教大では、志願者数の男女比が2021年度に逆転し、女子比率が52.5%に増加。さらに学部生に占める女子学生比率も22年度、56.1%に上昇した。なぜ増えているのか。

女子の大学進学率は年々上昇している。文部科学省の「学校基本調査」によると、2000年に男子の進学率が47.5%、女子が31.5%だったのが、21年には男子が58.1%、女子は51.7%にまで高まっている。専門家の間では30年までに「女子進学率は60%近くまで高まる」という見方もある。

女子学生比率に対する大学の意識も高まっている。

主な大学の女子比率の状況を見ると、国内最難関の東京大では、学部生に占める女子の割合が2割を超えたことがなく、「女子2割の壁」として問題視されている。東京大関係者からは「男性ばかりの偏りのある価値観で育ってそのまま社会に出ることを危惧する」という声が漏れる。

明治、青山学院、立教、法政、中央の5大学を見てみると、女子比率が最も低かったのは明治大の34%だ(22年度)。とはいえ推移を見ると、00年度に24%だったのが、12年度には31%と、徐々に増えており、「バンカラ」のイメージも薄れつつある。同じくバンカラのイメージがあった法政大も、女子学生からの人気が高まり、女子比率は今年度4割。伝統的に女子学生の人気が高いといわれてきた青山学院大では、今年度も昨年度も50%だった。

この5大学のなかで最も女子比率が高いのが立教大だ。同大のデータによると、学部生全体に占める女子学生の割合は、14年度51.9%、15年度52.7%、16年度53.4%と年々上がっている。18年度は54.0%、19年度は54.2%、20年度は54.1%と横ばいに推移したが、21年度は55.0%と再び増え、22年度は56.1%だった。

志願者の男女比にも変化が生じている。一般入試の志願者全体に占める12年度の女子比率は46.8%。その後、徐々に増加し、18年度には50.9%にまで上昇した。19年度は48.5%、20年度も47.5%と下がったが、21年度に52.5%と女子比率が大きく上昇し、22年度は54.2%とさらに増加している。

なぜ増えたのか。立教大総長室広報課の和田務担当課長は「二つの要因」を指摘する。

「国際化を進めてきた結果、女子人気が高まっていった背景があります。そこに入試改革をした結果、さらに女子が増える結果となったと見ています」

一つずつ説明していこう。まず、国際的な学びについては、コロナ禍の今も根強い人気があり、特に女子学生の関心が高いといわれている。文科省の21年度の「学校基本調査」を見ると、国際関係学関係の学科に所属する男子学生は6590人であるのに対し、女子学生は1万1553人と約1.8倍だ。

立教大では14年に「国際化戦略」を公表し、海外大学などへの学生の派遣に取り組んだり、海外からの留学生の受け入れを増やしたりするなど、国際化を進めてきた。20年度からはより実践的な英語力を身につけるために、新しい英語教育カリキュラムをスタート。国際的な学びを希望する女子受験生の受け皿になったとみられる。

先の和田担当課長がもう一つの要因として指摘した「入試改革」は、なぜ女子の志願者増につながったのか。

大学入試センター試験が大学入学共通テストに変わるなど、21年度から入試制度改革が行われた。各大学の個別試験でも改革が行われ、首都圏の難関私大では、早稲田大、青山学院大、立教大などが21年度に入試内容を大幅に変更している。このうち早稲田大は政治経済学部で共通テストの数学I・Aを必須化、青山学院大では募集人員の多い入試を共通テストと学部独自の試験の併用型にした。その結果、AERA dot.記事<早稲田・政経、2年で志願者「3000人減」でも強気な理由><名門・青山学院大の志願者数が前年比3割以上激減>で既報のとおり、志願者数としては両大学ともに大きく減らした。

一方、立教大は21年度から一般選抜の入試方式を変えた。英語の個別試験は、文学部の一部試験を除いて廃止。全学部で英検(実用英語技能検定)やTEAPなど外部試験のスコアを導入した。さらに外部試験は2年以内のスコアであれば有効で、一番良かった点数を提出できるようになった。

先の和田担当課長は「高校の教員などに話を聞くと、女子のほうが熱心に英語に取り組んでいる子が多いようだ」という。

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