岸田文雄首相は10日、19閣僚のうち14人を交代させ、第2次岸田改造内閣を発足させた。首相は首相官邸で記者会見し、「数十年に1度とも言われる難局を突破するため、経験と実力に富んだ新たな政権を発足させた」と述べ、新内閣は「政策断行内閣」だと強調した。

 首相は10日午前、自民党役員人事を実施した後、公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談し、組閣本部を設置。皇居での認証式を経て改造内閣を発足させた。

 首相は会見で、内閣改造の狙いについて「骨格を維持しながら有事に対応する政策断行内閣として山積する課題に対し、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用した」と説明。重点的に取り組む課題として、①防衛力の抜本強化②経済安全保障政策の推進③新しい資本主義の実現を通じた経済再生④新型コロナウイルス対策の新たなフェーズへの移行と対応強化⑤少子化対策強化――の5点を挙げた。

 厚生労働相と防衛相には、新型コロナ対策や、「国家安全保障戦略」など3文書の改定や防衛費増額への対応を重視し、経験者を配置。加藤勝信厚労相(66)=茂木派=は3度目、浜田靖一防衛相(66)=無派閥=は2度目の就任となった。

 2021年の党総裁選を争った高市早苗経済安保担当相(61)=無派閥=と、河野太郎デジタル相(59)=麻生派=も起用した。

 政策の継続性を重視して、松野博一官房長官(59)=安倍派=ら5人を続投させるなど内閣の「骨格」は維持した。松野氏にはワクチン接種推進担当相を引き続き兼務させる。

 初入閣は、衆院当選4回の小倉将信少子化担当相(41)=二階派=ら9人に上ったが、各派閥の要望に応じて「入閣待機組」中心の起用となった。

 内閣改造で、宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体との関わりを認めた7人は交代したが、第2次改造内閣では新たに、加藤氏、高市氏、林芳正外相(61)=岸田派、山際大志郎経済再生担当相(53)=麻生派、寺田稔総務相(64)=岸田派、西村明宏環境相(62)=安倍派、岡田直樹地方創生担当相(60)=安倍派=の7人が関係を認めた。

 首相は会見で、旧統一教会について「関係を点検し、見直すことを厳命し、それを了承した者のみを任命した」と説明。「旧統一教会の政策が不当に自民党の政策に影響を与えたとは認識していない」と強調した。

 また、宗教団体が法令を逸脱した場合、厳正に対処すること、悪質商法などの被害者救済に万全を尽くすことを指示したと明らかにした。【高橋恵子】

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