東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定を巡る汚職事件は、東京地検特捜部が17日に大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)を受託収賄容疑で逮捕し、7月下旬の家宅捜索から約3週間で急展開した。元理事は「徹底抗戦」の構えを見せており、AOKIホールディングス(HD)への具体的な便宜の立証が焦点となる。大会の汚点となりかねない事態に、関係者からは怒りや驚きの声が上がった。

 特捜部は今年4月ごろからAOKIHDへの内偵捜査を始めた。受託収賄罪の成立には公務員(みなし公務員を含む)が職務に絡んで利益を得た(賄賂性)と立証する必要があるが、組織委の定款は理事の職務を「業務執行の決定」と規定するのみで権限の範囲が明確ではない。このため、AOKIHD側からの資金提供と元理事の職務の関連性が捜査の焦点となった。

 判例では、直接の職務権限がなくても「職務と密接に関連する行為」の対価として賄賂を受け取れば収賄罪は成立する。その場合、公務員としての影響力を行使し、職務の公正を侵害したかが立証のポイントとなる。

 今回の逮捕容疑は、スポンサー選定とライセンス商品の製造・販売の2点に関してAOKIHD側から便宜の依頼(請託)が元理事にあったとされる。賄賂額はAOKIHD側からの送金額を積み上げた結果、5100万円と結論付けた。

 関係者によると、…(以下有料版で、残り564文字)

毎日新聞 2022/8/17 21:06
https://mainichi.jp/articles/20220817/k00/00m/050/256000c